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贅沢な船上プールですが、準備や掃除が大変

外航商船の船乗りにはあまりご縁のない客船の話をいくつか。

私は過去にプール付きの外航商船に2度、乗船したことがあります。プールといっても客船のように大きな綺麗なプールではなく、せいぜい長さ10m程度、魚のイケス程度のプールです。しかし、残念なことにせっかく一般商船には珍しいプールがあってもほとんど利用されていませんでした。

理由の一つは掃除や注水・排水作業を自分たちで行うのが大変だからです。客船のプールや陸上施設のプールのように、きれいに掃除されているプールに入るのとはわけが違います。船のプールは屋外にあるので、ゴミ、ほこり、虫等がプールに入って、すぐに水が汚くなります。その度に水を入れ替えなければいけません。そして、汚れたらデッキブラシでごしごし掃除もしなければいけません。これが結構大変です。まめに掃除や水の張替えをする人がいないと、自然とプールを利用しなくなります。

もう一つの理由は、船上にあるので船が少し揺れると、ぱしゃぱしゃとプールの水がはねて、まともに泳げたものではありません。自由水影響の体感実験ではないですが、ほんのわずかな船体の揺れでプールの水が右へ左へ揺れ動き、酷くなるとプールからじゃばじゃばと水がこぼれてしまいます。以上の二つの理由から、船のプールを毎日のように利用する日本人はいませんでした。

今でも客船が港を出港する際には見送る人とのお別れに紙テープを投げることがあります。私も客船に乗って紙テープを投げたことがありますが、風情のある光景です。紙テープを実際に投げてみて、初めてその楽しさを実感しました。

紙テープでお別れする儀式が始まったのは、余った紙テープの処分に困った会社から客船会社が譲り受けて港で使用してみたところ、とても好評だったので、それ以降流行したそうです。他にも造船所の進水式のときにも紙テープを使用して盛大な式典が行われることがあります。

話は変わりますが、なぜか客船の船内は広く感じます。私達が乗船する大型の一般商船に比べれば、一回りも二回りもサイズが小さいはずの客船ですが、船内にいると様々な設備があるためか、とても広い空間に感じます。とても幅が30メートルもない船とは思えません。客船の空間が広く感じるのはなぜでしょうか?家の部屋を広く見せるには物をあまり置かずにスッキリとさせれば広く見えると言います。それと同じように客船も広い部屋をたくさん作って、あまり物をごたごた置いていないので広く感じるのかも知れません。

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