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60メッシュの金網と言うけれど、60の意味は?

ストレーナー等に使用されている『金網』の話です。

金網は英語でWire Meshと言います。例えば「本船のストレーナーは60メッシュを使用している。」と言いますが、この場合の60メッシュとはどういう意味でしょうか? “メッシュ(Mesh)”はもちろん英語ですが、辞書で調べてみると、「網の目、ふるい」という意味が出ています。では「60メッシュ」=「60の網の目」とはどういう意味でしょうか?この60は何を意味する数字でしょうか?

LNG船のマニフォールド(マニホールド)担当者がメッシュの定義を知らなくては困ります。また、どんな船でも通風筒(Ventilator)には網(Wire Gauge)が付いているのですから、全ての航海士がメッシュの数字の定義を知っておくべきです。網の目の細かさは、1インチ (2.54cm) 当たりに開いている穴の数で表現します。つまり下図のように1インチ当たり3個の穴が開いている場合、3メッシュです。縦横各3個ずつ開いていますのでこの場合、3×3メッシュです。

従って「60メッシュのストレーナー」とは1インチ当たり60個の穴があいている非常に目の細かなゴーズワイヤーを使用したストレーナーのことです。穴の大きさは針金の太さがあるので、1インチをメッシュ数で割った大きさよりも小さいサイズとなります。メッシュとは金網の目の細かさの単位と理解しておけば良いでしょう。

ちなみにLNG船のマニフォールドに使用するストレーナーは60メッシュ程度ですが、オーストラリアのDarwin LNG Terminalでは積荷役時に200メッシュのストレーナーを使用します。当該ターミナルでは陸上タンク内に多量の不純物が混入する事故が発生したため、積荷中に不純物を取り除くために200メッシュのマニフォールドストレーナーを使用しているのです。

100メッシュ以上となると穴が肉眼で視認できないほど小さいため、100も200も見た目では区別できません。そして、200メッシュのストレーナーは粉末のような小さなゴミも捕らえるので直ぐに目詰まりしてしまいます。そのため、ダーウィンでは積荷役中に目詰まりによってマニフォールド圧力が一定以上に高くなったら、荷役を中断して新しいストレーナーに交換します。

ゴーズワイヤーはマニフォールド・ストレーナーやVentilatorだけに使用されているのではありません。危険区域のバラストタンクのエアーベント、タンカーやLNG船のカーゴタンクのベントマスト等には「Flame Screen」と呼ばれるゴーズワイヤーが使用されています。Flame Screenの役割は火の粉(スパーク)がタンク内部に侵入するのを防ぐことです。Flame Screen以外に「Flame Arrester」という言葉があります。

「Flame Screen」と「Flame Arrester」を同じ意味で使っている人が多いようですが、厳密な定義では少し意味が異なります。Flame Screenは今言ったように火の粉の侵入防止ですが、Flame Arresterは冷却効果により内部に火災を延焼させない機能を有しています。しかし、船ではあえて使い分けて言う必要はなく、Flame Screen、Flame Arresterのどちらの名称を使っても良いと思います。

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