船体の浮き沈み、喫水とTPC

『船の浮上及び沈下』の話です。

3/Oは当然「喫水修正(Draft Correction)」について熟知しているはずです。喫水と言っても、3種類の喫水があります。①喫水標(Draft Mark)から得られる喫水、②Draft Gaugeから得られる喫水、そして③基準となる船首垂線、船尾垂線、船体中央部における喫水です。

トリムや復原性を計算する場合に使用する喫水は船首尾垂線(F.P./A.P.)及び船体中央部(Midship)の喫水を使用しています。従って船体姿勢にトリムがある場合、正確な喫水を求めるためにはDraft GaugeやDraft Markから得た喫水を修正して基準喫水に変換する必要があります。これを喫水修正(Draft Correction)と呼びます。但し、Draft Gaugeはその機種によっては、予めDraft Correction済みの喫水をDraft Gaugeに表示している場合もあり、注意が必要です。

そもそも基準喫水の場所である垂線(Perpendicular)とは何でしょう?私達は垂線間長(LPP:Length between perpendiculars)を学校で習っているので聞き慣れていますが、「船首垂線」や「船尾垂線」の定義をまだ覚えていますか? 「船首垂線」とは船首材と満載喫水線の交点を通って垂直に降ろした線です。「船尾垂線」とは舵軸を通って垂直に降ろした線です。この2線間の距離を垂線間長といって一般に言う「船の長さ」はこの垂線間長のことです。他に最前端から最後端までの距離を示す全長(LOA:Length Overall)があります。

先ほど喫水は3種類と言いましたが、さらに付け加えるならば、Loading Computer(積付計算機)によって求められる喫水もあります。Loading Computerで算出する喫水と実際の喫水には必ずと言っていいほど差があります。各船のLoading Computerによって定誤差のように浅めに計算結果が出たり、深めに計算結果が出たりするので、常に実測の喫水とLoading Computerによる計算上の喫水を比較する必要があります。もちろん比較する場合はDraft Correctionを考慮して下さい。

ところで、自分が乗船している船のTPC (Ton per Centimeter)が何トンか知っていますか?ばら積船に乗船している航海士は、TPCが積/揚荷役の重要なファクターなので常に意識して覚えているかも知れません。しかし、タンカーやLNG船では案外、TPCを意識していない航海士が多いようです。大型LNG船のTPCは約100から110トンです。例えばTPCが100トンの場合、貨物を10,000トン積むと1m沈みます。バラスト水を10,000トン排出すると1m浮きます。

航海士は貨物やバラストによって喫水が変化し、船が浮き沈みするイメージを常に持っていなければいけません。9.5mのドラフトで積地に入港したLNG船は6万トンのLNGカーゴを積み、4万トンのバラスト水を排出するので、差し引き2万トン分、つまり2mほど、船体が沈んで11.5mの喫水で出港することになります。LNG船の空船と満船で喫水が約2m変化することがわかります。タンカーやバルカーではこの差はさらに大きくなり、コンテナ船やPCCではこの差は小さくなります。皆さんも一度自分の乗船している船のTPC、バラスト量、積荷量を用いて空船と満船の喫水変化の概略を計算してみて下さい。

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