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最大船型 パナマックス、アフラマックス、Qマックス

船の料金、『運賃』の話です。英語で旅客の運賃は「Fare」、貨物の運賃は「Freight」です。皆さんはスエズ運河及びパナマ運河を航行できる最大船型を知っていますか?もちろん運河ですから、無制限にどんな大きな船でも通過できるわけではありません。通過できる最大船型が決まっており、それぞれスエズマックス、パナマックスと呼びます。

パナマックス新パナマックススエズマックス
全長294.1 m366 m330 m
全幅32.309 m49 m48 m
最大喫水12 m (時期によって異なる)15.2 m17.678 m

パナマックス、スエズマックスとは最大船型を表す言葉といいましたが、その他に最大船型を表す言葉として、アフラマックス(AFRAMAX)があります。タンカーの船型でおおよそ8万DWTのタンカーをアフラマックスのタンカーと呼びます。アフラ(AFRA)とはAverage Freight Rate Assessmentの略で、タンカーの運賃指数を示しています。タンカー運賃はDWTにより段階的に運賃が異なり、9.5万DWTとそれ以上のVLCC等大型タンカーでは運賃指数が異なります。そのためVLCCが就航できない限定された航路ではアフラマックタンカーが利用されています。

その他にも船型の呼称として、バルカーではハンディーサイズ、ハンディーマックス、ケープサイズ等その大きさによって分類しています。また、特定海域の最大船型として、ニューキャッスルマックス、瀬戸内マックス、マラッカマックスがあり、さらに、LNG船ではQ MaxとQ Flexという船型があります。Q Maxといえば260,000m3積み、Q Flexといえば215,000m3積みのLNG船です。Q Maxになると全長はVLCCよりも長く340m以上もあります。「Q」は世界最大のLNG積地、Qatar(カタール)の頭文字です。

タンカー運賃と言えば、世界の標準運賃指標であるワールドスケール(Worldwide Tanker Nominal Freight Scale)が有名です。この数字が世界中の原油タンカーの運賃を決めているのです。ワールドスケール協会が毎月World Scaleを更新しており、その値が例えば”50”と決まれば、それに伴い各航路(例えば日本-ペルシャ湾)のタンカー基準運賃が自動的に計算できるというものです。

ワールドスケールが高いときはタンカー市場の運賃が高いということを意味します。19,500重量トン、14ノットの基準船に対する世界中のあらゆる積地・揚地間の運賃率が定められており、その運賃率に対する百分率がワールドスケールなのです。ですから、ワールドスケール50と言えば、この基準となる運賃率の50%を意味します。この基準運賃率は年2回更新され、ワールドスケールは毎日発表されています。

タンカーの運賃水準は現在のワールドスケールを知れば把握できます。ではバルカーの運賃水準はどのように知ることができるでしょうか。皆さんはバルチック海運指数を知っていますか?海事新聞等業界紙でしばしば目にする言葉です。このバルチック海運指数でバルカーの運賃が高いか安いかが把握できるのです。バルチック海運所がブローカーや船会社を調査して毎日発表している指数がバルチック海運指数で、1985年の運賃を1000としています。

過去の不定期船運賃の高騰時にはこのバルチック海運指数が何と11000以上となりました。株を知っている人には常識ですが、このバルチック海運指数と不定期船を運航している船会社の株価は連動しており、バルチック海運指数が上がれば株価が上がり、指数が下がれば株価も下がります。なお、ワールドスケールはタンカーの運賃を決めるファクターですが、このバルチック海運指数は運賃を決めるものではなく、あくまでもバルチック海運取引所が発表している参考値です。

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