似ているようで似ていない、仕事に関わる物の違いをシリーズで紹介します。
「インバーター」と「コンバーター」
直流電流を交流電流に変換する装置をインバーター、逆に交流電流を直流電流に変換する装置をコンバーターと言います。例えば、車のシガーライターソケットに差し込んでDC12VをAC110Vに変換する装置をカーインバーターと言います。
「エントロピー」と「エンタルピー」
「エントロピー(Entropy)」と「エンタルピー(Enthalpy)」、この両者の定義や違いを誰にでも判りやすく説明できる人はあまりいないと思います。エントロピー(Entropy)とは物体の熱力学的状態を表す変数で、エントロピー量が増大するとは物体の機械的量価値が減ってエネルギーが熱に変わっていくことを意味します。エンタルピー(Enthalpy)とはエントロピーと同じく熱力学的状態量の一つで内部エネルギーに圧力と体積の積を加えた量です。このように説明しても、やはり私達には簡単に理解できないのが、エンタルピーとエントロピーです。
「グリコール」と「グリセリン」
クリコール(Glycol)は二価アルコールで、船ではエチレングリコール(Ethylene Glycol)を不凍液として使用します。グリセリン(Glycerin)は三価アルコールで、水によく溶け医薬品や化粧品に用いられ、船では振動防止対策として圧力計に封入されています。
「スパン調整」と「ゼロ調整」
同じ調整ですが、まったく別物です。スパン調整とゼロ調整は絶妙なコンビで、両方の調整ができて初めて機器が良好な状態となります。スパン調整だけでは不十分で、ゼロ調整だけでも不十分。両方が適切に調整できて初めて正確な示度や開度を表示します。計測機器の指示が大きくずれると調整が必要となり、このとき実施するのがスパン調整とゼロ調整。
スパンとはある一定の範囲という意味で、その範囲の傾きを調整するのがスパン調整です。そして傾きが正確となってもゼロ点がずれていることが多いので、ゼロ点を合わせます。すると再び傾きが少しずれてしまいます。そこでまたスパン調整を実施、すると再びゼロ点がずれます。このようにスパンとゼロの調整を何回か繰り返すと収束して計測機器は正常な値を示すようになるのです。
「兼務通信長」と「衛生管理者」
船の職務の中には「兼務通信長」と「衛生管理者」という同じぐらい重要な職務があり、職員(航海士/機関士)がその職務に任命されることとなります。どちらも手当てが支給される職務です。しかし、その選任に当たって考慮される基準が「衛生管理者」と「兼務通信長」では大きく異なることを知っていますか?全く逆なのです。
「兼務通信長」という職務は船陸の重要な情報(ときには極秘情報)を取り扱います。ですから可能な限り上位職から、つまり船長や一等航海士から優先的に選任されます。その結果、職務の重複・過負担を避けるために必然的に衛生管理者は下位職の三等航海士・三等機関士から順番に選任されることとなります。衛生管理者と兼務通信長を掛け持つのは意外と労力の要ることです。ですから可能な限り職務の重複を避けて各人の作業負担を軽くするよう配慮されているのです。