海上に現れた虹を何度数えても6色です

海上に現れる『虹』の話です。

天気の良い日に局所的にスコールが降っている場所で太陽を背中にすると、ときどき虹を見ることがあります。陸上で虹はめったに見ることができませんが、航海中は条件さえ揃えば、毎航海のように見ることができます。

皆さんもよく知っているように、虹は空気中の水滴に日光が当たって光の分散によって七色に見えます。空気中の水滴がプリズムと同じ役割を果たすのです。ちなみに、夕焼けや朝焼けが赤く見えたり、空や海が青く見えるのも光の屈折現象です。

虹を度々みることが出来るのは船員の特権かもしれません。虹だけでなくスコールさえ、初めて見る人にとっては新鮮なようです。私達は見慣れてしまっており、スコールを見ても何も感じなくなっていますが、便乗者があの雨のカーテンを初めて見ると感激する人が多くいます。山間部に住んでいる人でなければ、街中に住む人がスコールの雨の壁を見ることはないでしょう。

「七色の虹」と言いますが、皆さんは七色を端から全て順番通りに言うことができますか?この間、航海中、海上に虹が現れたので、「七色の虹というけど本当に7色あるのかなあ?」と、何気なく数えましたが1色足りませんでした。赤、だいだい、黄色、緑、青、紫、6色しかありません。何度数えても6色です。そこで辞書で調べてみました。残りの色の正解は藍色(あいいろ)でした。青と紫の間に藍色があるのです。辞書によると、「藍色とは青より濃く、紺より淡い」と書いてあります。藍という植物から染料をとった色だそうです。とにかく青と紫の間にもう1色あるということです。大昔、「藍よりも青く」というテレビドラマがありましたが、藍よりも青くということはまさに「紺」ということになります。また、もう一つの青色として絵具に「群青色」という青色系があります。紫がかった目の覚めるような青色で、鉱物から作る顔料のことを群青色と言います。

群青色は鉱物から作る青ですが、植物から作る青には藍の他にも「瑠璃色」があります。瑠璃色は藍色よりも明るくて鮮やかな青色です。色の話を文章でしてもピンとこないところがありますが、とにかく青色も多種多様ということです。日本人は「虹は七色」という先入観があります。しかし、七色というのは便宜上のことで、虹は光が屈折してできる現象であり、連続して色が変化しているので、七色にはっきり分かれているわけではありません。ですから、おそらくどこかの国では七色の虹と言わないかもしれません。

ちなみに、「海図改補でViolet色インクを使用していない」とSIREで指摘を受けたと聞きますが、この紫色は英語で様々な言い方がありますが、それぞれの紫色の微妙な違いを知っていますか?英語でViolet色、Purple色、Magenta色、Lavender色は紫色を意味します。私の理解では、Purpleが標準の紫色で、薄紫色はViolet又はLavender、赤紫色はMagentaです。プリンターインクに使用されるMagentaは赤紫色です。

青色と言えば、コバルトブルーも綺麗な青色です。大量の夜光虫でコバルトブルー色に輝く海面を見たことがあります。ずいぶん前のことですが、鹿児島沖を航行中のことでした。夜間当直中、その日はほぼ無風状態で、海面が鏡のようになっていました。そうしているうちに船首でできた波がわずかな月明かりに照らされて、海面全体がコバルトブルーに変わりました。今までみたことがない幻想的な光景にびっくりです。とにかく半端な量ではありません。辺りの海面がコバルトブルーに輝くのです。この世のものとは思えない光景に当直もそっちのけで、しばらくの間、海面を見つめていた覚えがあります。あの夜光虫の光景は今でも鮮明に目に焼き付いており、船乗りになって良かったと実感した思い出の1ページです。

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