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誇るべき海技力は、しっかりした英語力の土台があってこそ

日本人外航船員が備えるべき『英語力』の話です。

私達日本人船員の英語力があまりにも低いと不満を漏らす陸上の人もいます。皆さんの英語力や英会話能力はどうでしょうか?社会人(船員)になってから自分でこつこつと努力して英語を勉強していない人にとっては、おそらく受験生時代の英語力が最も高く、それからほとんど英語力は向上していないはずです。むしろ昔はたくさん覚えていたであろう英単語を日々忘れてしまっているでしょう。受験時より唯一向上しているのは、外国人乗組員との英会話能力のみなのではないでしょうか。しかもその英会話は船員独特のブロークン英語ではないでしょうか。

日本人船員の英語力不足という問題は何も今に始まったことではありません。船内の業務での英語は初級程度の英会話や少量の英文作成能力、英文読解能力があれば業務に支障がないかも知れません。

しかし、今や陸上勤務が船員生活の半分以上となる時代です。陸上勤務においては船で通用した英語力では絶対的に不十分です。その点を会社も重視しており、若い人にもっと英語を勉強するようハッパをかけているのです。船内で英語力・英会話力が通用しているのは、外国人乗組員が私達日本人の稚拙な英会話・乏しい英語力に配慮してくれているからなのです。

その良い例が、日本人との混乗が初めてで日本人慣れしていない外国人乗組員が乗船してきたときです。その外国人が私達日本人と上手くコミュニケーションが取れないと、「あれ?英語ができないのかな?」と私達はすぐに思ってしまいます。しかし、実は私達のつたない発音の英語が判らないだけなのです。彼らも日本人の話す英語に慣れてくると上手くコミュニケーションを取り出します。彼らは流暢な英語はしっかり聞き取れるのです。ですから、外国人乗組員と多少英語で通じ合えるからといって、自分の英語力は十分であると考えるのは大間違いです。

船員は理系要素のみならず文系要素も含んだオールマイティーな資質・素養が必要です。船員が英語ができないだけで、昇進が遅れることにどれだけの意義があるか疑問を抱いている人も少なからずいるはずです。しかし、私から言わせると、英語はやれば上達します。やらないから上達しないのです。なぜやらないのかというと英語が苦痛なぐらい大嫌いなのか、自分の置かれた立場に危機感がまったく無いため努力しないのか、どちらかです。

以前一緒に乗船した若い機関士のTOEICの点数を聞いてびっくりしました。1年前には500点にも満たなかった点数が、たった1回の休暇で何と740点以上となったそうです。約3ヶ月間の休暇中に毎日、英語の勉強に相当な精力を注いだそうです。やる気になった動機は会社からTOEICの点数が悪いことで厳しくしかられ、それで発奮して英語の勉強を毎日したそうです。その結果、TOEICが200点以上も上昇したそうです。ローマは一日にしてならず(Rome was not built in a day.)です。そして、「継続は力なり」です。

やはり人間やる気になれば、できるのです。要は動機です。ある人が言っていましたが、皆より船長・機関長の辞令が出るのが遅れると1年間で約50万円の損をしていることになるそうです。TOEICの点数が規定の点数に足りずに船長や機関長の辞令が出ないことが大きな損失となっているのです。どうですか?50万円と聞いて英語の苦手な人は英語を勉強する気になりませんか?どんな動機でもかまいません、英語の苦手な皆さんも騙されたと思って3ヶ月間みっちり英語の勉強をしてみませんか?

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