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救命設備・消火設備の制限時間いろいろ(その1)

救命設備(LAS: Life Saving Appliances) や消火設備 (FFE: Fire Fighting Equipments) に要求されている『制限時間』の話です。

船の救命設備や消火設備は十分な数量の設備を搭載していれば、それで規則の要件を十分に満たしているというものではありません。当然、緊急の場合に使用する設備なので、要件に見合った時間内に使用できる仕様となっており、かつ、実際に私たちが適切な時間で確実に使用できなければ意味がありません。十分な数量だけでなく、迅速に使用できることが重要なのです。では救命設備・消火設備で規定時間(所要時間・制限時間)が定められているものを挙げよ言ったら、皆さんは何を思い浮かべますか?そのいくつかを紹介しましょう。

Muster Stationへの集合

総員退船部署発令後、10分以内に乗組員全員が退船できなければいけません。操練の場合は、事前に持ち物や救命胴衣を準備しているので直ぐに集合できますが、現実に退船する場合には、1分1秒でも早く集合する必要があり、10分以内に全員が集合することが求められています。(SOLASⅢ Reg.31 1.5)

救命艇/救命いかだの進水準備

救命艇及び救命いかだに関する規定時間として、進水準備に要する時間が定められています。「二人の乗組員が5分未満で乗り込み及び進水の準備を行うことができること」とSOLASに定められています。二人で5分未満という時間は、それほど余裕のある時間ではありません。要領良く作業を行う必要があります。(SOLAS ChapterⅢ Reg.13.1.3)また、救助艇(Rescue Boat)の場合は、着水まで5分以内(SOLAS ChapterⅢ Reg.14.1)、収艇も5分以内(SOLAS Ⅲ Reg.17.4)と定められています。

救命艇の乗艇

全員が乗艇に要する時間は3分以内と定められています。(LSA 4.4.3.2) ですから、実際に退船部署が発令されてから全員がMuster Stationに「10分以内」に集合し、その「5分後」には進水準備ができて、さらに「3分後」には全員が乗艇していることになります。退船部署が発令されてから、全員の救命艇乗り込み完了まで18分間を超えることは許されません。これらの時間を念頭に入れ、日頃の操練で確実かつ素早い動作を身に付けるようにしなければいけません。

Air Bottleの空気量

救命艇に搭載しているAir Bottleの必要空気量は10分間以上の間、乗組員が呼吸可能で、かつ、救命艇機関を運転できる空気量です。また、自蔵式呼吸具(Self-contained Breathing Apparatus)のAir Bottleの量は少なくとも30分間使用できるよう1200リッターの容量が必要です。これはIGC CodeやFSS Codeで規定されています。ちなみに、圧力150kg/cm2でボトル容量が8リッターの場合、150×8=1200リッターとなります。もちろん、温度によって圧力も変化しますので、正確な容量を求めるには温度換算が必要ですが、大略の容量は掛け算で求めることができます。(IGC Code 14.3.2 / FSS Code Ch3 2.1.2)

EEBD (Emergency Escape Breathing Device)の使用時間

EEBDは少なくとも10分間の継続使用ができることと定められており、EEBDは居住区や機関室に設置することになっています。居住区や機関室が煙で充満しても10分間あれば、脱出可能です。(FSS Code Ch3 2.2.3.1)

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