ねぇちょっと、紙がないよ! あれっ、インクもないよ!

『船用品』の話です。

乗船するたびに思っていましたが、各船の船用品のデッドストックが余りにも多すぎます。食器店を営むことができるほどの大量の皿、カップそして鍋がストアーに眠っている船がありました。ダンボール箱からあふれでるほどの食器が山積みです。また、文房具のデッドストックも非常に目につきます。

文房具ストアーにホッチキスの予備が10個以上あったり、マジックの予備が10本ではなく、10箱もあったり、修正テープの詰め替え用カートリッジが100個もあったり。誰が考えても常識を逸脱した数量です。注文の際に単位を間違えたのでしょうか。適正な消費量を計算し、在庫量と照らし合わせて正確に必要数を注文するという芸当ができるのは日本人ぐらいなのかも知れません。混乗船となって外国人航海士が食器、調度品や文房具類を注文するようになってから、一層デッドストックが多くなったような気がします。

在庫が多過ぎる物品がある一方、どの船でも在庫不足になりがちな物品が、「A4ペーパー」です。私の経験からいうと2隻に1隻ぐらいの確率で「紙が無くなる、次の船用品補給まで紙がもたない。紙が無いと仕事にならない。困った、どうしよう…」と騒いでいます。A3やB4の用紙ならいざしらず、A4は間違いなく多量に消費し、腐るものではないので、デッドストックになりようがない物品です。ですから、極端な話ですが、1年間分ぐらいどかっと注文して在庫を持っていても全然かまわないと思います。多量に消費する物品と滅多に消費しない物品を的確に区別して、適正な残数量になるように在庫管理しましょう。

そして、プリンターインクも在庫が無くなり困ることが多々あります。最近はプリンターがお手軽価格になったためか、どの船でも数ヵ所にプリンターを装備しており、以前に比較してプリンターの使用頻度が断然高くなりました。しかし、インクの価格が高いため、どうしても大量の在庫をストックできません。また、船内のプリンターの機種が統一されておらず、何種類ものプリンターインクの在庫が必要です。そのため、プリンターインクの在庫切れが頻繁に発生しています。もし船内のプリンターで印刷できなくなると、事務作業に支障をきたすことは言うまでもありません。

また、安全に関わる物品を無理してカットする必要はありません。むしろ安全のためにはお金を掛けるべきです。だからと言って安易に楽をするために甘えて、無駄と知りながら物品を注文するのではなく、デッドストックを極力無くすよう心がけて注文して下さい。近年、海運業界は稀に見る好況で賑わった後、最近はまた大不況となっていますが、ムダを省くという意味のコストセーブは好況・不況にかかわらず、いつの時代でも基本中の基本です。船では「安全のための潤沢な投資」と「コストセーブのための思い切った節約」の絶妙なバランスが求められているのです

ちなみに、ストアーにある船用品や予備品を保管している戸棚のことを皆さんは何と言いますか?キャビネット(Cabinet)という英語で言うこともあれば、「ビドマ」という聞きなれない言葉を使っていませんか?

「ビドマ」を辞書で引いても載っていません。戸棚のことをなぜ「ビドマ」と呼ぶのかインターネットで検索してみたところ、「ビドマ (ヴィドマー:Vidmar) 」という商品がヒットしました。

参考 Vidmar キャビネットムラテックKDS株式会社(村田機械グループ)

おそらく戸棚のことを誰かが商品名、「ビトマ」で呼び始めたことがきっかけで、そう呼ぶようになったのでしょう。参考までに、実用日本語表現辞典には、以下のように記載されています。

主に医療分野で、引き出しを多数備えた薬品保管用の棚を意味して用いられている語。また、工場などで工具を入れる棚を指すこともある。いずれも、このタイプの棚を製造しているスイスの会社名(Vidmar)に由来する。

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