船内生活では欠かすことができない『洗濯機』の話です。
船の洗濯機は、皆さんが想像しているよりも頻繁に故障します。気のせいではなく、ほんとうによく壊れます。家庭で使っている洗濯機が2、3年で故障することはまずないと思いますが、船の洗濯機は当たり前のように2、3年で壊れます。故障する原因は、重量オーバーで使用する、使用頻度が多すぎる、洗剤を沢山入れてあふれ出た泡による水濡れによって電気系統が壊れる等々の理由があります。そして何より海外で製造した外国製品が多くなったことも原因の一つでしょう。
洗濯機と言えば、最近乗船した船で驚いたことがあります。なんとその船では、未だに洗濯層と脱水層に分かれた二層式の洗濯機を使用しているのです。船内の洗濯機がすべて二槽式の洗濯機なのです。いまどき二層式の洗濯機を手に入れるのも簡単ではないと思うのですが、なぜ二層式洗濯機が新造時から装備されたのか理由は定かではありませんが、やはり全自動の洗濯機に慣れた私達にとっては、二層式の洗濯機を使用するのは面倒くさいものです。
洗濯が終わったら自分で脱水層に衣類を移して脱水しなければいけません。そして何よりも使用する水の量が問題です。全自動洗濯機では誰が使用しても一定の使用量で済みますが、二層式では流しっ放しですすぎを行うと大量の水を使用します。もし流しっ放しで忘れたままにしていたら最悪です。言うまでもありませんが、船内の水は貴重なものです。そのため船では全自動の洗濯機を備えるべきです。
先ほど言ったように二層式の洗濯機は、すすぎ終わった洗濯物を自分で脱水層に移し変えて脱水しなければいけません。ところが船は揺れるためなのか、脱水層がなかなか上手く高速で回ってくれません。重心が定まらずにごろごろとゆっくり回転するだけで、脱水がなかなかできません。
これを解決するための裏技があります。洗濯機には「洗濯層への給水」と「脱水層への給水」の切り替えがあります。脱水層がごろごろと上手くまわらないときは、「脱水層への給水」に切り替えて、給水しながら脱水層を回転させます。すると案外、機嫌よく安定して高速回転で回ってくれます。最近の船では2層式の洗濯機を見かけることもないので、この裏技を覚えても残念ながら役に立ちませんが、、、
ビデオデッキ等Audio製品も度々故障します。外国人船員は自分の私物は非常に大切にしますが、公共のものは乱暴に扱う傾向があるようです。そして、この傾向は外国人乗組員に限らず日本人乗組員にも当てはまるのではないでしょうか。良識ある人として自分の物だけでなく、船内の公共物も大切に丁寧に扱う心配りを忘れないようにしたいものです。
昔から、船の水で真っ白な下着を洗濯すると黄ばむとよく言われています。実際、下船して家に持って帰って船で着ていた下着を家の白い下着と比べると一目瞭然。船で使っていた下着は相当黄ばんでいることがわかります。黄ばむ原因は船の造水器で作った雑用水が陸上の水と比べて黄色っぽいことと言われていますが、果たして真相は??