皆さんの両肩できらびやかに金色に輝いている『肩章』の話です。
肩章には右肩用と左肩用があるのを知っていますか?右の肩章と左の肩章は同じではありません。よく見ると右用か左用かで、その形が微妙に異なっているのが判ります。肩章は真四角ではなく、右上と左上が欠けており、その欠け方が大きいほうが前側(胸側)に、小さいほうが後側(背中側)になるように取り付けます。したがって、下の左側写真が左肩用で右側写真が右肩用となります。
もう一つ、肩章の右用と左用を区別する簡単な方法は、金モールの丸い形の流れ方です。丸く描かれた金色モールが重なって前側から後側に流れたほうが背中側になります。写真の赤矢印ように流れたほうが背中側となるのです。
冬の制服の両袖には金モールが巻かれています。皆さんがよく知っているように船機長が4本、一航機士が3本、二航機士が2本、三航機士が1本。若い三等航海士が結婚式で制服を着ると金モールが1本しかなくて、非常に寂しい感じがします。
船員の制服の金モールは袖の全周に巻かれて一周してつながっていますが、飛行機のパイロットの制服の金モールは上側半分にしか巻かれておらず、切れているのを知っていますか?機長の袖には4本の金モールがありますが、よく見ると上側180度だけに巻かれており、裏側180度には巻かれていません。その理由を私が勝手に推測するには、狭いコックピットで機長が飛行機を操縦するわけですから、袖口がスイッチ等に引っかからないよう裏側には何も巻いていないのではないでしょうか。金モールが重要な装置に触れて飛行機が誤作動しては一大事です。
最近知ったことですが、ミツカン酢で有名なミツカンのマークは一等航海士の金モールと一緒です。たまたま一緒なのでしょうか?是非、ミツカンのこのマークの由来を知りたいものです。ある航海士が体験した笑い話ですが、結婚式の披露宴で金モール3本を巻いた制服を着たそうですが、式場で通りがかった人に「ミツカンの社員の人ですか?」と尋ねられたそうです。世間では3本線のマークといえば船員のモールよりミツカン酢のマークのイメージのほうが強いのかもしれません。(その後、ネットで調べてわかりましたが、会社の名前は創業家の家紋が丸で囲まれた三の形であり、それをバラバラにして「三」を「ミツ」、丸を「環(カン)」と読んで「ミツカン」と名付けたとのこと。また、酢は「味」「きき」「香」の三つが命であり、○には「丸くおさめる」という意味が込められているそうです。船長の金モールも「船」「貨物」「乗組員」「陸上関係者」を丸くおさめるという意味かも知れません。)
結婚式といえば、私が若い頃は玉姫殿や平安閣といった全国にチェーン展開している結婚式専門の式場でWeddingをあげる人が多かったのですが、近年(コロナ禍前)では洒落たレストランや駅前のホテルで結婚式をあげる人が多いようです。バブル華やかな時代には鳩を飛ばしたり、ゴンドラに乗って登場したり、背丈の倍もあろうかというウェディングケーキに入刀したり、とにかく派手な結婚式が定番でした。今は地味な結婚式、質素な結婚式が主流となり、結婚式にお金をかけるよりも新婚旅行や住居にお金をかけるようになったのでしょう。確かに親・親戚や会社の付き合いよりも二人の幸せのためにお金を使うほうが、余程リーズナブルだと私も思います。