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突然、真っ暗になったら、困ります

懐中電灯を英語でトーチ(Torch)と言いますが、その懐中電灯に使う乾電池の話です。

昔に比べて今は乾電池も充電式のものを使用する船が多くなってきています。充電式の乾電池は初期投資は高くつきますが、何度も使用可能なのでコスト的には従来の乾電池よりもお得なのかも知れません。しかし、充電式電池で一つ注意しなければいけない重要なことがあります。

それはバッテリーが突然無くなる可能性があることです。新しい乾電池を使用すれば一定期間は規定電圧を維持できます。しかし、充電式電池はその能力が低下してくると、予想以上に早く電圧が低下して電池切れ状態になります。

例えば、トーチに従来の乾電池を使用している場合は、バッテリーが無くなってくると、トーチの灯りが暗くなっても、ぎりぎりまで使用します。しかし、充電式乾電池のトーチの場合、少し暗くなってもまだ大丈夫と思っていると、突然、灯りが消えることがあります。

そのため、バラストタンク内検時に使用するトーチには充電式乾電池を使用せず、新しい乾電池に入れ替えたほうが無難です。もしタンク内で電池切れになれば、周囲は真っ暗になり、パニック状態になるかも知れません。側に誰もおらず、薄明りもない真っ暗な状態では、手さぐりで移動するのも至難の業です。

危険物積載船での使用するトーチは全て防爆型のトーチにすべきです。例え居住区や機関室だけで使用するトーチでも防爆型であるべきです。理由は人はミスを犯すからです。ガスや油漏洩等のトラブルが発生したときに、あわてて非防爆型のトーチを持って現場へ行く可能性があるからです。船上に防爆型のトーチしか存在していなければ、この危険なヒューマンエラーは決して起こりません。従って、危険物積載船には非防爆型のトーチがあってはいけないのです。

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