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エンジン・ア・ラ・カルト(その7)

Inducer

遠心力ポンプのインペラーについては以前にお話しましたが、多くの遠心力ポンプにはインペラーの前にインデューサー(Inducer)が装備されています。インデューサーの役割は吸い込み効率の向上です。インデューサーのおかげでインペラーの手前で液体を効率よくインペラーへ導くことができるのです。

ポンプは右回転? それとも左回転?

CCS

最近は機関室の各機器の冷却システムとしてCCS(Central Cooling System:間接冷却システム)を多くの船で使用しています。従来は海水を船外から取り入れてポンプでその海水を直接クーラーに通してLO等を冷却していました。機関室の各機器の冷却に直接海水を使用していました。しかし、CCSでは清水をクーラーの冷却に利用し、冷却後に温度上昇した清水を海水で冷やすというシステムになっています。簡単に言うと清水で冷却して、その清水を海水で冷却するというものです。

CCSの最大の利点は機関室内の多くのパイプが清水管になるため、錆びにくく、スケールの付着も少ないため、整備が容易となり、熱交換率も低下し難いことです。さらにもう一つの利点は、万一LOラインが錆びて穴が開いた場合、海水冷却ですと海水ラインへLOが直接混入して船外へ流出する危険があります。しかしCCSの場合は、清水ラインにLOが混入するだけで、船外への流出の危険はありません。これらのメリットにより、最近の船舶の冷却システムにはCCSが主流となっているのです。

スクープ(Scoop)

Scoopを直訳すると「ひしゃく、大さじ」のことです。また、別の意味ではテレビや雑誌でよく目にする「特ダネ」という意味があります。しかし、ここで言うスクープとは、船速が十分にあるときに船底の大きな穴から海水を機関室に吸い込んで冷却に使用後、別の穴から排出する海水取り入れ口のことです。スクープは船速がなくなった場合は利用できないため、通常の主循環水ポンプに切り替えます。

スクープはタービン船ならではの装置です。タービン船ではコンデンサー(復水器)のために大量の冷却海水が必要となります。そこで機関室に装備されている「Main Circulation Pump」という巨大な循環水ポンプを使用して蒸気を水に戻しているのですが、効率を上げるために船速があるときには循環水ポンプの代わりに船底のスクープから大量の海水を取り入れてコンデンサーの冷却に利用するのです。スクープと循環水ポンプの切替は自動でも手動でも可能ですが、Auto Modeの場合は回転数によってスクープと循環水ポンプが自動的に切替ります。

潤滑油

ディーゼル船では、「System Oil」と「Cylinder Oil」の二種類のLOを主機(Main Engine)に使用しています。「System Oil」はクランクケース内の駆動部の潤滑に使用するLOです。「Cylinder Oil」は主機の燃焼時にライニングの潤滑に使用するLOです。Cylinder Oilは燃料と一緒に燃焼するので、System Oilと違って消費量が多く、適当な間隔で補給する必要があります。燃料だけでなく、Cylinder Oil無しでも船は走ることができません。

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