税関スタンプを見えるところに押さないで

『税関』に関する話をいくつか。

「指定地外交通」という言葉を聞いたことがありますか?外国からやってきた船舶や飛行機は税関の許可を受けた場所にしか入港・着陸を認められていません。飛行機の場合はもちろん飛行場・空港しか着陸できませんが、全国の国際線空港が税関の許可をもらっています。ところが、船舶の場合は日本各地の港湾に無数のように船が着桟する場所があり、人の乗下船、貨物の積み卸しを行います。そのため公共バース等は税関の許可を受けていますが、工場内のプライベートバースは税関の許可を受けていない場所がたくさんあります。そのプライベートバースを「指定地外」と呼びます。

関税法第24条に「船舶と陸地との間の交通、又は貨物の積卸は税関長の許可を受け、かつ、その指定した場所を経て行わなければならない。」と明確に定められています。ですから、税関の指定した場所以外の「指定地外」で貨物の積み卸しや乗下船・訪船する際は、そのたびに税関から許可を得る必要があります。従って、会社の監督や業者が指定地外に停泊している船舶を訪船する場合は、税関に申請して「指定地外交通許可通知書」を受領しなければいけないのです。実際の申請手続きは現地代理店に委託することがほとんどです。

さらに、ここで「開港」と「不開港」のおさらいをしておきます。「開港」とは「貨物の輸出及び輸入並びに外国貿易船の入港及び出港その他の事情を勘案して政令で定める港」で海外との貿易ができる港のことです。「不開港」とは「開港」以外の港で海外貿易が認められていない港です。

当然のことですが、皆さんが入港前に用意する乗組員氏名表(Crew List)は日本の場合、関税法で規定されている「入港届」と一緒に税関に提出しています。この手続きは本船自ら行うのではなく、どの国の港でも代理店に必要書類を送付し、代理店が入港手続きを行っています。そして、外航船舶が出港する場合、税関に「出港届」を提出して、税関長の許可を受ける必要があります。もちろん、トン税を納付した後でなければ、税関から出港の許可を得ることができず、ポートクリアランスも手にすることができません。ちなみに、日本では税関の部局は、東京、横浜、神戸、大阪、名古屋、門司、長崎、函館、那覇の9箇所にあります。

では「保税地域」「保税倉庫(保税蔵置場)」という言葉を知っていますか?外国から輸入した貨物を輸入関税を支払わずに、そのまま置いておくことができる地域や倉庫のことです。例えば、輸入した貨物を国内に持ち出して消費せずに、工場で加工してからそのまま輸出する場合に保税地域や保税倉庫が利用されます。製造業者にとっては原材料に課せられる税金が軽減されるというメリットがあります。

税関に関する話をもう一つ。聞いた話ですが、ある乗組員が外地で買ったコートを通関したところ、税関職員が何を間違ったか、コートの表側の裾部分にはっきりと見えるように税関スタンプを押したそうです。しかも税関スタンプは特殊インクを使用しているので、クリーニングしても簡単には落ちません。

押された当人もさぞびっくりしたことでしょう。そこは船乗り、度量が広いのでしょう、弁償という話にはならなかったそうです。それにしても税関職員もうっかりしていたのでしょうか、あまり衣類の通関を経験したことがなかったのでしょうか。冷静に考えれば、飾りや衣服は見えるところにスタンプを押すはずがありません。

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