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ふね検合格で、あなたも船博士に

様々な仕事にまつわる資格の話です。「Electric Engineer」や「Electrician」という職業を皆さんは知っていますか?

日本語で言えば「電気士」に該当するのでしょうか。多くの欧州船にはElectric EngineerまたはElectricianが乗船しています。最近乗船したロシア人との混乗船にもElectric Engineerが乗船していました。「電気士」というのは文字通り電気のスペシャリスト、電気の専門家です。船内の電気関係の仕事を一手に引き受けています。例えばDouble Bottomのように降りて行くだけでも大変な場所の電球切れでもElectric Engineerは自分の仕事として電球を交換しに行くのです。ちなみに電気士は職員扱いです。国際的な規則では電気士という職務を制度化していませんが、国(船籍国)によっては制度化している国もあります。

日本の場合は伝統的に昔から機関士が電気関係の仕事もカバーしており、一人二役で活躍しています。従って電気士という役職の日本人船員はいません。それだけ日本の機関士が優秀であるということの裏返しかも知れません。電気士のいない船に乗っている外国人機関士が電気に弱いと言われるのは、能力不足というだけでなく、電気関係の仕事を安易に電気士に頼ってしまうことが一因になっているかも知れません。もちろん外国人機関士の中にも日本人機関士以上に電気が得意な人もいるでしょうし、日本人機関士でも電気が弱い、嫌いな人がいるでしょう。これだけ機器の電子化が進んだ時代ですから、電気専門のスペシャリストが船に乗組んでいることに意義はあるはずです。ちなみに電気士の給与は2/Eクラスと同等です。しかし、大きな違いはElectric EngineerやElectricianはそれ以上昇進するチャンスがないことです。電気士は船長にも機関長にもなれません。

ところで電気士、航海士、機関士の「士」という漢字にはどんな意味があるのでしょうか?遠い昔の中国では、「士」は統治する階級のことでした。日本では航海士、機関士、弁護士、司法書士、海事代理士、歯科衛生士等々たくさんの士がいます。ではあまり聞きなれない「販売士」、「技術士」とはどんな資格を持った人か知っていますか?販売士は商工会議所が認定する資格で、1級から3級まであります。3級は販売員レベル、2級は売り場の管理者レベル、1級は店長レベルのいわゆる販売のプロです。小売店の仕組み、販売員の基礎知識からマーケティング、マネージメント能力まで専門的な知識を身につけた人に与えられる資格です。技術士とは国家資格であり、科学技術に関する高度な専門的応用能力を身につけ、技術コンサルタントの能力を有している人に与えられる資格です。

資格といえば、ちょっとおもしろそうな「船博士」という資格があるのを知っていますか?「戦艦『大和』を建造した軍港は?」「イベントなどに登場するマスコットキャラクター『うみまる』『うーみん』はどこの出身?」等々。船に関する歴史や文化、船の仕組みや運航、船を使った遊びなどについて楽しく学び、幅広い知識を得てもらおうと、日本海洋レジャー安全・振興協会が「船の文化検定」、通称「ふね検」を実施しています。

検定は、(執筆当時)全国各地と初級のみオンラインでも実施され、出題は、初・中・上級ともに、船の歴史(日本編、世界編)10問、船の文化・慣習10問、船の仕組み10問、船の運航10問、船の遊び10問となっています。合格基準は、初級が正解率70%以上、中・上級は同一問題で、中級の正解率80%以上、上級は90%以上です。みなさんも一度「ふね検」にトライして「船博士」になってみてはいかがでしょうか?船員仲間に自慢できるかも知れません。

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