Astern Guard Valve
船によっては「Astern Guardian Valve」とも言います。タービン船ならではの安全のためのバルブです。主機タービンは毎分数千回転という超高速で回転しています。航海中は「前進用タービン」に高圧高温蒸気が供給されていますが、万一何らかのトラブルにより「後進用タービン」に蒸気が流入しては大変です。タービンブレードはバラバラになり、おそらくタービンが完全に破損して大事故となるでしょう。そのため、R/Up領域では「Astern Guard Valve」が自動的に閉となるよう安全対策が取られています。このバルブは主機がS/B領域で自動的に開となり、いつでも主機後進が使える状態となります。
Ferrous Ion Generator
航海士にはあまり聞きなれない装置名かも知れませんが、機関室で使用されている銅管の腐食を防止する装置です。錆を防止する装置には色々な種類がありますが、銅管の腐食を防止する装置もあります。昔は、銅合金のTubeを使用しているLOクーラーにはケミカル(薬品)を流し込んで発錆を防止していました。しかし、現在はFerrous Ion Generatorという鉄イオンを強制的に発生させて銅が錆びるのを防ぐ装置が用いられています。
NFB / ACB
NFB(No Fuse Breaker)は日本語では適切な表現がないようですが、直訳すれば、「ヒューズ式でない遮断器」です。家庭の分電盤でも使われているブレーカーをNFBと呼びます。電気機器が故障して漏電や短絡して過電流が流れても電気回路を壊さないように瞬時に配電を遮断するための安全装置です。
意外なのですが、この「NFB」という名前は三菱電機が命名したもので、溶けて遮断するヒューズ式とは異なるタイプのブレーカーです。バイメタル、電磁石、スプリングを用いた遮断器です。一方、「ACB(Air Circuit Breaker)」は日本語で「気中遮断器」です。圧縮空気によって電路を遮断する安全装置です。発電機に関する用語として「ACBを入れる(Close ACB)」、「ACBを外す(Open ACB)」という言葉が使われます。
オペアンプ
船の制御機器に「オペアンプ」というものが使用されています。航海士には馴染みないかもしれませんが、オペアンプとは「Operational Amplifier」の略で日本語では、「演算増幅器」と言います。オペアンプは抵抗やコンデンサーを組み合わせた回路で、足し算、引き算、微分積分といった演算機能を持っており、昔はアナログコンピューターで使用されました。しかし、現在ではオペアンプの持つ演算機能よりも優れた増幅機能が注目され、計測機器や制御機器の増幅回路として利用されています。オペアンプを使用することにより出力を安定させることが可能となります。オペアンプの原理・機能を詳しく知る必要はありませんが、オペアンプという回路の不具合が機器トラブルの原因となることを知っておいて下さい。