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残り巻き数がわずか、もうこれ以上は伸ばせません

係船索の話をいくつか。

係船機の巻き取りドラムがTension DrumとStorage Drumに分かれているタイプは一長一短です。係船索をTension Drumに1 Layerの状態で使用するのでLayer数が変わらず、Tensionを一定にできるというメリットがあります。

しかし、Tension Drumへ5~7巻きにするための調整に手間取ることが多々あります。2、3巻きでは少な過ぎるし、8、9巻きでは喫水の変化によっては2 Layerになってしまいます。同じ港・ターミナルに入港する船では、Tension Drumへ切り替える場所を係船索に判りやすい色でマーキングしておけば、間違いなくTension Drumに5~7巻きになるよう係船索を調整することができます。

一方、初めての港や船首尾配置員が交代したばかりで慣れていない場合等は何度も何度もやり直しをすることになります。Tension Drum一周の長さが約2mなので5~7巻きにするためには、係船索が陸上フックにかかった後、10m~14m程度緩んだ状態でTension Drumへ移し変えれば、ちょうど5~7巻きでMake Fastできるはずです。しかし、陸上ビットまでの長さが係船索によって異なるので、この10m~14mの緩みを目測で計るのが結構難しいのです。船首尾配置の航海士の腕の見せ所です。1回でピタリとTension Drumの巻き数が5 ~7巻きで収まったら、気分もすっきり、船長もご機嫌です。

LNG船ではテンションモニターで係船索のテンションを常時監視しているターミナルがほとんどです。従って実際のテンションを数値で把握しながら調整できます。船の大きさにもよるのでしょうが、一般的には15~20トンのテンションが適当とされています。ターミナルによってはLow Alarm 5トン、High Alarm 40トン等の設定値を設けて警報を鳴らします。一方、テンションモニターを過信するのも危険です。テンションモニターで適度な張力を表示していても現場の係船索が明らかに弛んでいる場合もありますし、逆に現場の係船索は明らかに良好な状態にもかかわらず、テンションモニターで異常値を表示していることもあります。ここでも現場が最も重要であることは間違いなく、現場最優先です。

着桟間際になって係船索を船から陸上へ送り出すタイミングについては様々な議論が行われてきました。岸壁のはるか遠くから係船索を送り出すことに問題ないでしょうか?係船作業が遅れるからという理由で日本では船が岸壁から100m程度はなれていても係船索を送り始めるところが多いようです。しかし、接岸作業を確実に安全なものとするために、フェンダータッチしてから係船索を送り出す船が多くなってきているかも知れません。やはり、船体位置が確定してから係船索を送り出すのが安全なのは言うまでもありません。

昔経験したことがありますが、まだ岸壁まで100m以上離れているのに係船索を送り出してしまい、陸上フックに取ったあと、船体姿勢が乱れて船尾が岸壁から徐々に離れて行き、係船索をどんどん伸ばさざるを得ない状態になり、係船索を伸ばしますが、そのうちドラムへの巻き数が残りわずかになり、陸上からラインをレッコーしてもらわなければいけないのではと、はらはらしたことがありました。ドラムに残り10m、20mとなっては船首尾配置要員にも緊張が走ります。こんなこともあり得るので、皆さんは自船の係船索の正確な長さを知っておくべきです。Head Line / Stern Lineの長さがSpring Line / Breast Lineより長い船が多いはずです。

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