このパイプはスケヨン? いやスケハチかな?

船内の各所で使用されている『パイプ』の話を一つ。

機関士なら誰でも常識的に知っていると思います。「このパイプはスケヨン、いやスケハチかな?」というような会話を聞いたことがありますか?「スケヨン」、「スケハチ」とは一体何のことでしょうか?

パイプの厚さの違いをスケヨン、スケハチと呼んで区別して言います。例えば肉厚のパイプをスケハチ(Schedule-80:スケジュール80)と言い、肉薄のパイプをスケヨン(Schedule-40:スケジュール40)と言います。その他にとんでもなく肉厚のSchedule-160もあります。これらを略してスケヨン、スケハチと呼んでいるのです。

スケジュール番号  = 設計圧力(kg/cm2) ÷ パイプ材料の許容応力(kg/mm2) × 10倍

という式があり、この式で算出されたスケジュール番号のパイプの使用が必要です。

一度IMPAカタログ(71-1)を見て下さい。通常はスケヨンのパイプですが、過大な圧力がかかる部分にはその圧力に応じて肉厚の大きなパイプ、スケハチが使用されています。その他にパイプの種類として、SeamlessかERW(Electric Resistance Welding)、GalvanizedかUngalvanized、Carbon SteelかStainless等の分類があります。

参考 About IMPAIMPA.net

配管を注文するときにアルファベット「A」を数字のうしろに付けて、「80A」「120A」と記すことがあります。このときの「A」はミリ単位を意味します。従って80Aのパイプと言えば、直径が80ミリのパイプを意味します。インチサイズのパイプには「B」を付け、1/8Bのパイプと呼びます。Aがミリ、Bがインチと覚えましょう。ちなみに「呼び径」とはパイプのサイズを表す径のことですが、パイプのサイズはパイプの外径で表すので、「パイプの呼び径」とは「パイプの外径」のことになります。

船によっては、バラストラインや消火ラインに「ポリエチレンライニング加工」しているパイプを使用しています。ポリエチレンライニング加工は発錆を防ぐ優れものです。但し、傷や劣化によってポリエチレンライニングが剥がれると、大変です。あるLNG船で機関室のバラストラインのポリエチレンライニング加工が剥がれるという経験をしました。積荷役作業でバラストを排出していると、急激にバラストポンプのサクションのバキュームが立ってポンプが使用できなくなりました。幸い、予備バラストポンプに切り換えたので、荷役の遅延はありませんでした。出港後に機関室のバラストパイプを開放点検すると、びっくりです。550mm径の大きなパイプのポリライニングが2、3メートルにわたって完全に剥がれてパイプ内部をべったりと塞いでしまっていました。ポンプがバキュームになるはずです。

パイプと言えば、皆さんはパイプ内を通過する液体流量の計算ができますか?できない人は電卓片手に直ぐに計算できるようにしておいて下さい。タンカーやLNG船など液体貨物を扱う航海士にとって流量計算は必須です。バルカーやコンテナ船においても航海士たる者、所定のサイズのパイプを通過するバラスト流量ぐらい計算できなければいけません。油やLNGのパイプ内を通過する流量には制限があります。その理由は流量が多すぎる(流速が速すぎる)とバルブの開閉をコントロールできなくなり、バルブスピンドルの故障等トラブルが発生する可能性があるからです。そのために計算により流量を知る必要があるのです。

一般的にバルブメーカーの推奨する制限流速は7~10m/sです。また、LNG船の場合には流量が過大になるとマニフォールドストレーナーが損傷する可能性があります。1時間当たりに流れる流量は半径(m) x 半径(m) x π:3.14 x 60(秒) x 60(分) x 流速(m/s)で計算できます。例えば、直径400mmのパイプを流れる流量は0.2(m) x 0.2(m) x 3.14 x 60(秒) x 60(分) x 7(m/s) = 3,165m3となります。従って直径400mmのパイプの最大許容流量は3,165m3となります。皆さんも電卓片手に流量計算が出来るようにしておいて下さい。

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