「Slamming」と「Panting」
「Slamming」と「Panting」は両方とも船首部を波が叩く同じような現象かもしれませんが、その程度には雲泥の差があります。「Slamming」は荒天時に巨大な波の中を航走中、大きなうねりに乗って船首部が持ち上がり、次の瞬間、海面に船首部が叩きつけられ、強い衝撃を受けて大きな船体振動が発生します。一方、「Panting」とは船首部側面が波頭に叩かれることで「Slamming」とは異なります。ある意味「Panting」は丈夫な船首部の側面を波が叩くだけなので、問題ありませんが、「Slamming」になると船体損傷の危険性もあり、船速調整や針路調整が必要となります。
「油田」と「ガス田」
「油田」と「ガス田」の違いは、もちろん「油田」が原油の産出場所で、「ガス田」が天然ガスの産出場所です。しかし、原油と天然ガスはもととなる起源は同じで、大量の生物(有機物)の残骸が移動・堆積し、濃縮され、貯留したものです。イメージ的には油田もガス田も大きな湖のような状態ではなく、岩のすきまに入り込んだ状態です。
では、原油と天然ガスは何によって異なる物質となったのでしょうか?
答えは「熟成温度」です。原油はコーヒー程度の温度(約80℃)で生成され、天然ガスは焼き鳥を焼く程度の温度(約140℃)で生成されたものです。その温度の違いで原油となり、天然ガスとなるのです。では少し前に話題になった「シェールガス」と「天然ガス」の違いは何でしょうか?両者の化学成分は同じですが、封じ込められている土壌が異なるために天然ガスのガス田は密度が濃く、シェールガス田は密度は薄いのです。シェールガスは頁岩に密度が薄い状態で封じ込められているので、採取技術が難しいようです。
「海流」と「潮流」
私達は海のプロです。「海流」と「潮流」の意味の違いを念頭に入れて適切に使い分けましょう。「海流」は主に海面上に吹く風が原動力となって生まれます。海域や深さによって温度、塩分濃度、密度等が異なるために海流を生じます。また、ある海流が生じるとそれを補う海流も生じます。一方、「潮流」は潮汐によって引き起こされる海面上昇/下降の水平運動成分です。
ちなみに、気圧が変化すると海面高さも上下しますが、具体的に気圧が1hPa下がると海面はどれぐらい上昇しますか?時々、航海士でも答えられない人がいますが、皆さんは大丈夫ですか?標準大気圧が1,013hPaで、1kg/㎠の気圧を水の水頭圧に換算すると高さ1,000cmとなります。従って1,013hPaで1000cmなので、ほぼ1hPaが1cmに相当します。従って960hPaの台風の中心では海面が50cm近く上昇していることになります。
「IMO Number」と「Official Number」
船舶も自動車と同じようにその船固有の番号を持っています。その中でよく耳にするのがIMO Number (IMO番号) とOfficial Number。IMO NumberはIMO(International Maritime Organization:国際海事機関)が発行する船舶識別番号です。IMO番号はSOLASによって船体に表示義務がある番号で、船籍国が変わっても変更されない不変の番号です。一方、Official Numberは船級証書にも記載されている船籍国が発行する番号です。世界で通用する番号がIMO Number、船籍国で通用する番号がOfficial Numberと考えれば良いでしょう。