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似て非なるもの(その9)

「櫓」と「櫂」

大型船に乗っている船乗りにはあまり関係がない「櫓(ろ)」や「櫂(かい)」かも知れませんが、その違いを知っていますか? 簡単に言うと「櫓」は舟の船尾に付いているもので、「櫂」は横に付いているものです。川を上り下りする和船などで「櫓」が用いられており、一般に「櫓を漕ぐ」と言います。一方、西洋式の湖や池に浮かぶボートのオールは「櫂」です。「櫂は三年、櫓は三月」という諺があるように、櫓は子供でも直ぐに扱えるようになりますが、櫂の熟練には相当な時間が必要です。

「崎」と「埼」

「崎」と「埼」、どちらも「さき」と読みますが、明確に使い分けるには理由があります。「崎」には山の険しい場所という意味があり、「埼」には水部へ突出したところという意味があるのです。従って地図には「野島崎」と記載されていても、海図では「野島埼」との記載が一般的です。

「洋上」と「海上」

今更ながら、「洋上」と「海上」の違いを確認しておきましょう。「洋上」とは、太平洋や大西洋と言うように周囲が海で陸地が見えないぐらい広大な海域を意味します。一方、「海上」とは、洋上よりも狭い海域、例えば日本海やベーリング海、あるいはもっと狭い海域を意味します。また、海に対して陸があって、「海陸」という言葉がありますが、「洋陸」とは言いません。

「海水」と「淡水」と「汽水」

船乗りにとって「海水」はもちろんのこと、「淡水」も馴染みある言葉ですが、「汽水」はあまり聞き慣れない言葉です。「海水」とは塩分が多く含まれる海の水、そして「淡水」は河川や湖の水です。但し、「淡水」とは塩分濃度が完全にゼロな水だけでなく、ゼロに近い水も「淡水」です。そして「汽水」とは河口と海が接続する湖で淡水と海水が混じり合い塩分濃度が中間になった水です。ちなみに、海水の塩分は約3.5%ですが、太平洋、大西洋、インド洋の塩分を比較すると、インド洋<大西洋<太平洋の順番にわずかですが塩分濃度が高くなっています。

「Gangway」と「Accommodation Ladder」

両方とも日本語で言えば「舷梯」ですが、もう少し詳しく表現すればGangwayは「船舶と陸上との間の交通手段として使用される梯子」で、Accommodation Ladderは「船舶への乗込口が海面から9メートルを超える場合にパイロットラダーと共に用いる舷側はしご」です。つまり、Gangwayの方が広義の意味での梯子あり、船と陸をつなぐ梯子ならどんな種類でもGangwayに該当します。

一方、Accommodation Ladderは狭義の意味での梯子でコンビネーション方式のパイロットラダーに使用する梯子です。また、ある海外文献によると、客船や練習船で使用する岸壁に直角方向に降ろす舷梯がGangwayで、舷側にそって使用する舷梯がAccommodation Ladderと定義されていました。

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