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圧力と温度がわからないことには、気体の議論はできません

液体や固体とは比べ物にならないぐらい膨張・収縮しやすい気体の話です。

ときどき、取説やマニュアルに「Nm3」という単位が使われているのに気が付くことがあります。このアルファベット「N」の意味は「ニュートン」ではありません。「Normal」の略です。この「N」が付くと名目量(基準状態)を意味します。例えば送風機の能力を表すときに10,000Nm3/hourと書かれていれば、ある基準圧力・基準温度の気体を1時間当たり10,000m3の送風が可能です。気体はその種類や圧力・温度でその重さが大きく異なります。同じ10,000m3といっても空気とイナートガスではその重さが大きく異なります。

さらに同じ種類の気体であっても0℃の気体と100℃の気体では重さが異なります。従って10,000m3の能力があるといっても重い気体では100%の能力を発揮することができません。そのため気体量を議論するときは、気体の種類によって基準圧力・温度に換算した量で議論しなければならないのです。このときに使う気体の量を「名目量」と言い、「N」の符号を付けて表すのです。繰り返しますが、気体量の単位「N」は「ニュートン」ではありません。

同じような話ですが、救命艇や呼吸具のエアーボトルの充填圧力を議論するときには単純に圧力だけを見るのではなく、周囲の温度を考慮することが必要です。気温5℃のときのボトル圧力と気温35℃のときのボトル圧力を比較するときは温度換算する必要があります。例えばエアーボトルを気温35℃で200kg/cm2まで充填しても気温が5℃まで低下するとその圧力は10%程度減少し、180kg/cm2になってしまいます。

ですから極低温時に圧力が低下しているからと思って所定圧力まで充填してしまうと、極暑の海域へ行ったときにエアーボトルの安全弁が吹き抜ける事態になるかも知れません。ある船では年次検査受検資料として呼吸具のエアーボトル圧の一覧表を作成していましたが、圧力計測時の温度が記録されていませんでした。これでは正確な圧力計測結果になりません。とにかく気体を扱うときは圧力と温度の両方を考慮することです。

気体の単位の話をしましたので、他の単位系も紹介しておきます。航海士の常識として、1インチは何センチか、1フィートは何センチか知っていなければいけません。では1fathomは何フィート、何メートルでしょうか?航海士は長さ(距離)、容積、重さ(質量)の度量衡を用いて船体及び貨物を取り扱うプロですから、よく使う数字は換算テーブルを見なくても言えるようでないといけません。皆さんも下記の数値程度は頭に入れておいて下さい。

1 feet30.48 cm
1 inch2.54 cm
1 fathom6 feet ≒ 1.8 m
1 MPa1000 kPa ≒ 10 kg/cm2
1 kW1.3596 PS
1 m36.2898 US Barrel
1 lb (ポンド)16 oz (オンス) ≒ 454g (グラム)
β ℃5/9×(α℉-32)
(例)86℉=30℃

なお、メートル・センチ単位をフィート・インチ単位に直す簡単な方法があります。メートル・センチ表示の値に3.281を掛ければ良いのです。そうすれば、整数がfeetになります。そして小数点以下に12を掛ければinchです。例えば9.35mをfeet/inchに直すには、9.35×3.281=30.67735となり、まず整数の30がfeet数です。そして0.67735 ×12≒8インチとなります。つまり9m35cmは30feet 8inchです。是非この係数3.281を覚えておいてください。パナマ運河やスエズ運河通航時は喫水をfeet単位で表示することもあるため、この式を使うと便利です。

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