航海士たる者、公の場所では品位ある言動を

『報告のタイミングとその内容』についての話です。

報告の内容やタイミングには様々なケースがありますが、ときには機転を利かせて報告すべき場合があります。例えば、荷役中に何らかのトラブルを見つけたときのCCR(COC)への報告です。もちろん、トラブル発生時はCCR(COC)へ迅速に報告すべきであることは言うまでもありませんが、その報告のタイミングや内容が問題となるケースがあります。例えば、荷役を開始して間もなく現場配置についている航海士やABから「大変です。・・・から油が漏れています。」と報告があるとします。CCR(COC)では乗組員及び訪船している陸上関係者の緊張が高まり、注目が集まります。

CCR(COC)ではC/Oや乗組員以外にもたくさんの陸上関係者がいます。タンカーやLNG船での油漏れや液漏れは、その程度によっては重大なトラブルに発展する可能性があり、荷役中止にも成り得る事態です。結果的に大した漏洩でない場合でも、現場からの報告の仕方によってはCCR(COC)にいる関係者の人達は過敏に反応し、過剰に対応することがあります。ですから事態がほんとうに軽微な場合は、オーバーな表現や誤解を招く言葉遣いは控えるべきです。

緊急性がないトラブルや深刻でないトラブルを発見した場合は、CCR(COC)へ帰ってきてそっとC/Oの耳元で説明するぐらいの配慮が皆さんに求められているのです。例えば、ガス漏えいをGas Leakageの頭文字「GL」、液漏れをLiquid Leakageの頭文字、「LL」と言うのです。GLとLLでは事態の重大さに雲泥の差があります。隠語を使うことに抵抗がある人もいるかも知れませんが、乗組員だけに状況が伝わる隠語を取り決めておくこともスムーズなオペレーションを維持するためには必要かも知れません。

もちろん、緊急性があったり、荷役に重大な影響を及ぼすトラブルの場合は、迅速で正確な報告が必要です。現場を担当する皆さんには、オブラートに包んだ内容で報告するか、率直にありのままの内容を報告するのかを現場で的確に判断することが求められています。陸上関係者に余計な誤解を与えないためにも、乗組員の立場を守るためにも臨機応変に機転の利いた報告が欲しいところです。

次に航海士の品格にかかわる報告の話です。ある船で入出港S/B時にパイロットを出迎えに行っている3/Oから「キャプテン、今回のパイロットは年寄りのおじいさんです。」と報告がありました。パイロットが外国人なので日本語が判らないからと平気で失礼な形容詞を付けて報告してきました。しかし、航海士たる者は公の場所では品位ある言動を取らなければいけません。

トランシーバーの会話を部外者の誰が聞いているかわかりません。トランシーバーで話しをするときは、冗談でも人を侮辱した言葉や下品な言葉を使ってはいけないのです。悪口を他人に聞かれるから駄目だというだけでなく、下品な言葉を平気で使う人は航海士としての品格を疑われます。

パイロット乗船時と同様にSIRE等の検査時も要注意です。検査員が外国人だからといって、日本語で悪口を言ったり、日本語の資料だから判らないだろうと油断していたら落とし穴があります。日本語をある程度理解できる検査員がいたり、中には日本語がペラペラの検査員もいるのです。そんな日本語を理解できる検査員の前で悪口を言ったり、日本語で書かれた問題ある記録を見せるとどうなるかは言わずもがなです。外国人の検査員といえども日本語での問題発言は絶対にしないようにしましょう。

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