“半切りパイプ”
誰でも知っているでしょうが、ヘビードア(水密ドア)のレバーには半切りパイプがひっかけて置いてあります。多くの船でこの半切りパイプのいくつかが紛失しています。何気なく置いている半切りパイプですが、不要な物ではなく必要であるから置いてあるのです。ヘビードアが固くて手で簡単に開かない、又は閉まらないときにはこの半切りパイプを使用します。
また、ヘビードアのパッキンが劣化して水密が少し悪くなっているときには半切りパイプでレバーを強く締め付けて水密を維持する必要があります。たかが半切りパイプで、それほど重要ではないと考える人がいるかも知れませんが、検査員に注意されたことさえあります。他にも細かな指摘事項と言えば、消火栓の蓋が鎖で結ばれていないことを注意されたことがあります。もし蓋を開けたときに内圧で蓋が飛んで人に当れば危険だから、鎖やワイヤーで固定しておきなさいという理屈です。どんな設備・道具にも設置する理由があるのです。
半切りパイプの話の次は半切り缶の話です。ウィンチやクレーンから少量の油漏れがある場合によく半切缶で受けている船がありますが、検査時には取り外しておきましょう。検査員に見つかると、この船は油漏れがあるのに修理もせずに漏油を放置しているとみなされる可能性があるからです。油漏れがあると機器が正常でないと判断されてしまいます。また、雨が降って船外に油混じりの雨水が流れ出すと大問題となります。ですから、可能なら検査前や入港前には、油をきれいに拭きとり、油受けは外しておいてください。
“AL、 MINA、 RAS”
ペルシャ湾の港名や地名、さらにペルシャ湾航路に就航する船の名前に「AL」、「MINA」、「RAS」という単語が頭に付いているのをよく見かけます。もちろんアラビア語ですが、それぞれどういう意味か知っていますか?その意味を知っておくと、覚えにくい名前にも少しは馴染み易くなるのではないでしょうか。
「AL」とは英語の定冠詞「The」に相当します。ペルシャ湾岸諸国のホットなニュースを放送するカタールの有名な放送局「Al Jazeera」、LNG船「Al Zubarah」「Al Wakrah」の「Al」です。
次に「MINA」は「港」を意味します。そして「RAS」は岬を意味します。ですからクウェートの「Mina Al Amadi」は英語で言えば「Port of the Amadi(アマディ)」です。サウジアラビアのRas Tanuraはタヌラ岬となります。このように頻繁に使われる単語の意味を知れば、少しは興味を持って地名や船名を覚えることができるかも知れません。