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実の親と義理の親で呼び方が違います – 難しい日本語の話 –

外国人にはとっては難しい日本語ですが、私達日本人でさえ正しい日本語を使っていないことが少なからずあります。日本語を難しくしている一つの理由として、同じ発音でも意味が異なる『同音異義語』があります。公文書の中で頻繁に使用される同音異義語をいくつか紹介しておきます。案外、その違いを気にせずに、あるいは間違って使用しているかも知れません。しかし、公文書は正確に書いてこそ公文書です。皆さんもその違いを十分に理解して正しく使用して下さい。

改訂:「文書などの内容を改めること」で、例として「辞書を改訂する」と使います。
改定:「きまりなどを新たに定めること」で、例として「条文を改定する」と使います。
英語ではどちらも「Revision」ですが、日本語ではしっかり使い分けましょう。覚え方としては文章は訂正が多いから「改訂」、規則は定めるものだから「改定」と覚えます。

配布:「広く配りわたすこと」で、広範囲な場合に使い、例として「ちらしを配布」
配付:「個々に配りわたすこと」で、狭い範囲の場合に使い、例として「資料を配付」
英語ではどちらも「Distribution」ですが、日本語の覚え方は大きな布→広範囲に配布、引っ付けてわたす→狭い範囲に配付と覚えます。

また、よく使う言葉に「思量」「思料」「思慮」があります。皆さんはどのように使い分けているでしょうか?「思慮」は「しりょ」と読み、「思料」「思量」は「しりょう」と読みます。「料」と「量」はどちらも同じ意味で、「あれこれ比べて考える」という意味で、「慮」もそれほど意味の違いはなく、「あれこれ思いめぐらせる」という意味です。

文章中の誤字で多いのが「~にもとづく」です。正しくは「基づく」ですが、誤って「基ずく」と書く人が結構多いようです。「づ」が正解で「ず」は誤りです。また、「基く」もダメです。

「以上」「完」は両方とも手紙の末に記して「ここまでで終わる」という意味になりますが、「以上」と記した後に添付書類リストや追伸を書き足した場合には、最後に「完」を記します。この「完」がほんとうの「最後の最後」となります。 「以上」→(添付物)→「完」となります。

ご不幸があった場合に、書状で用いる父母の呼び方には日本語独特の言い方があります。義理のお父さん、お母さんと自分の実の父、母で呼び方が異なるのです。陸上勤務をしているとき、同僚の親族にご不幸があり、その通知が回覧でまわってくることがあります。そこには「ご岳父」と書かれていたり、「ご尊父」と書かれていたりしています。私も陸上勤務して最初は聞き慣れない言葉に違和感があり、義理の親と自分の実の親の呼び方に区別があることさえ知りませんでした。正式には以下の通り区別して呼んでいます。

ご岳父(がくふ) : 妻の父 (いわゆる“舅”)
ご丈母(じょうぼ) : 妻の母 (いわゆる“姑”)
ご尊父(そんぷ) : 他人(あなた)の父の敬称
ご母堂(ぼどう) : 他人(あなた)の母の尊敬語

ところで、皆さんは「お疲れ様」と「ご苦労様」の違いを意識して使っていますか?私も何気なく使うことが多いのですが、「お疲れ様でした」と「ご苦労様でした」では少し意味が異なってきます。「ご苦労様」にはもともと苦労をかける立場の人から苦労をした人に言う言葉で、通常上位の者が下位の者に対して使うねぎらいの言葉です。

目下の人が目上の人に苦労をかけた場合は、「ご苦労様でした。」ではなく、「ありがとうございました。」、「お疲れ様でした。」を使うのが適切です。船長が若い航海士に「ご苦労様」と言うのはOKですが、若い航海士が船長に「ご苦労様でした」というのは一般的には不適当です。皆さんも「お疲れ様」と「ご苦労様」を意識して使い分けてください。

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