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よく見てください、煙突は1本の筒ではありません

こんな質問も航海士に時々してみます。「ブリッジから煙突が見えるけど、煙突の中はどうなっている?」下の方から煙突を眺めているだけでは、煙突は大きな一つの筒にしか見えません。しかし、実際には本頁の各写真の様にどの船の煙突にも大小取り混ぜて10本前後のパイプが煙突上部から出ています。

タービン船ならばボイラーの煙道、ディーゼル船ならばMain Diesel Engineの排気筒ぐらいは誰でもわかるでしょうが、それ以外にも沢山のパイプが煙突から突き出ています。当たり前のことですが、工場の煙突と同じように船内で発生した排気ガスや蒸気を大気に放出させるのが煙突です。その種類は発電機の排気筒、ボイラーの安全弁、焼却炉の排気管、廃油タンクのエアー抜き、スートブロー蒸気の排気筒などなど、沢山あります。一本の大きな筒に見える煙突にも様々な役目のパイプが設置されているのです。

機関士の人なら知っていて当然でしょうが、意外と航海士は煙突のことを知らないものです。正直なところ私も煙突へ目が行き届いて、関心を持ち始めたのはつい10年前ぐらいからです。それまでにも銀ペン塗りのため煙突頂部へ登ったことは何度もありますが、興味がなかったのか視野が狭かったのか、それぞれのパイプがどんな役割なのか全然興味も関心もありませんでした。煙突から異常な色の煙や大量の蒸気が排出されているのを発見したら、即座に機関部へ連絡することも航海士の仕事です。そのためには航海士と言えども煙突の構造・機能の概略ぐらいは知っていなければいけません。

ときには入出港スタンバイ中に煙突から黒い煙や白い煙がもくもくと出ているのを目撃することもあるでしょう。一般的には燃焼時に燃料が多過ぎると黒煙になり、空気が多過ぎると白煙になります。急激な主機・ボイラーの負荷変動にFO量と空気量を調整する燃焼制御が追いつかないのです。環境問題が注目を集めている昨今、航海士としてはターミナル関係者や付近住民からの苦情が非常に気になり、煙突からの黒煙には神経を使います。

もし、煙突から異常な色の煙が出ている場合は、小まめにECRに連絡して、機関部に確認してもらいましょう。朝ミーティングのときに機関長や機関士が船橋に上がってきて、まず煙突を見るのは、煙の色によって燃焼状態を判断しているのです。最近の新しい船では、煙突から出る煙の状態をECRのモニターカメラで監視している船もあります。

経験を積むに従って、時間的にも精神的にも余裕ができて物事を見る視野が少しずつ広くなります。常日頃、何気なく見たり、使ったりしている機械や道具を少し視点を変えて見てください。意外と知っているようで知らないことが船内各所に沢山あるはずです。「なに (What) ?」「なぜ (Why) ?」「どこ (Where) ?」「いつ (When) ?」「どのように (How) ?」という意識を常に持ち、物事を一歩深く考える習慣を身に付けて下さい。

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