船体振動・・・ログブックの記事が書けなくても・・・

快適な船内生活を妨害する『船体振動』の話です。

どんな船でも主機には危険回転域があります。特定の主機回転数になると船体構造物、プロペラ、プロペラ軸、主機等が共振し、許容値以上の振動が発生するため、使用できない回転数(避けるべき回転数)があります。また、異常振動が発生するのは危険回転数付近だけでなく、積荷状態によって変化する船体のHogging、Saggingや水深、海潮流、気象・海象等による負荷の変動によって普段は問題ない回転数で船体構造物が異常振動することがあります。ある回転数になると特定の場所が激しく振動し始めるという不思議な現象がときどき発生することがあります。例えば、ある船では回転数が70rpmを超えるとNo.4 Cargo Tank付近がガタガタと激しく振動し始めます。

酷い場合は船橋当直中にログブックの記事が書けないほど振動する船もあります。過去には、あまりにも酷い振動のためレーダーマストにクラックが入った船もあります。振動防止のためにAPTへ漲水する船や居住区ハウスとエンジンケーシング間を壁でつないでいる船がありますが、その結果、振動が他船に比べて少ないことから、ある程度は効果があるようです。

APTへ清水を漲水しておけば、造水器が不調になり水不足になったときに、雑用水として使用可能です。また、清水を大量に使用する作業があるときにもAPTに貯蔵している清水利用が可能です。また、振動防止ではありませんが、プロペラからの水圧変動を吸収するために船尾に写真(下)のようなDump Tankを設置した船もあります。プロペラからの水流が船体外板に直接当たるのを避けるため、穴を開けて圧力を逃がしているのです。その効果の程度を詳しく知りませんが、これにより推進効率が少しは向上するそうです。

ところで、ログブックの話が出てきましたが、航海士になりたての頃は、ログブックに入出港の記事を書くのも一苦労です。最近はSIREやOPMの影響で様々な記事をログブックに記載するよう要求されています。例えばMonthly Inspection、Weekly Inspection、操練記事、入出港Inspection等々沢山の項目をログブックに記入しなければならない時代です。入港S/B時に船長が操船権を航海士から引き継いだことまで記入が必要です。さらには、SIREでは手動操舵とAuto Pilotの切替までログブック(又はベルブック)に記入を要求しています。

私も新人の頃は「Temporary Anchor」や「Shift」の定義が明確に理解できず、また、「Detaining Hour」や「Drifting」が発生した航海の「Hours Under Way」や「Propelling Hour」等の計算を間違ったりしていました。先ずは、各言葉の定義をしっかり理解しましょう。そして、計算間違いがないように何度も検算することです。大昔の話ですが、ある航海士がログブックの記載を沢山間違って1ページをまるまる破り捨てるという信じられないことをしました。

なぜ、その航海士が公文書であるログブックの1ページを破り捨てたのか、正確な理由は忘れましたが、その辺の学習ノートと同じ感覚で破ったのかも知れません。通し番号を振っている公文書の途中のページを破り捨てることは決して許されません。書き直しができないなら、そのページを飛ばして次のベージから始めれば良いのです。

破り捨てられたことを知った当時の船長は激怒しました。航海士に厳しく注意するとともに、その航海士にログブックの最初のページから全ページを新しいログブックに書き写すように命じました。ログブックは大切な公文書です。言うまでもありませんが、書き損じたからといって破り捨てるなど、絶対にやってはならないことです。間違った場合は、修正液・修正テープを使用せずに定められた方法で適切に訂正して下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA