冬季北太平洋航路:アラスカ湾の航海

藤井 迪生藤井 迪生

こんにちは、藤井迪生です。
このシリーズでは、冬季北太平洋を航行している船舶がどのような荒天域を避けながら航海しているのかを見ています。
これまで、全体のルート傾向航行海域の波高を見て来ました。
今回は、アラスカ湾の航行傾向について見ていきたいと思います。

アラスカ湾を航行するメリット

冬季、発達した低気圧が集まることで有名なアラスカ湾(北緯40度以北、西経175度以東)ですが、荒天であることが多い反面、この海域を航行した方が、距離が短い、潮流が利用できるなどの利点も享受できます。
前回、「冬季北太平洋を航行するコンテナ船は、向い波を受けて航行する場合には、追い波を受ける時よりも荒れていない海域を通ろうとする傾向にある」ということを述べましたが、実はこの事実が常に成り立っているわけではないと言えるのがアラスカ湾のケースです。

5m以上の波に遭遇した位置

下図は航海中に5m以上の波に遭遇した位置をプロットしたものです。上段が主に追い波を受ける東航(アジア側→アメリカ側)、下段が主に向い波を受ける西航(アメリカ側→アジア側)です。

図から、主に追い波を受ける東航では5m以上の波高域を航行した地点が北太平洋に広く分布しているのに対し、向い波を受ける西航ではアラスカ湾に集中しています。つまり、西航の航海では、アラスカ湾が多少の荒天であっても、向い波に耐えながら航行する、または航行せざるを得ないということが見て取れます。

アラスカ湾以外の海域ではどうなのか?

今回の研究では、北太平洋西部の北緯40度以北および以南、北太平洋東部の北緯40度以南でも同様の解析を行いましたが、遭遇波高が高くなっている海域はアラスカ湾付近のみでした。

では、いったい何mの波高域であれば航行し、何mの場合は避けているのか。また、どのような条件のときに成り立つ基準なのか。これについては、別の機会にご紹介させていただきます。

参考文献

1) M. Fujii, H. Hashimoto, Y. Taniguchi, “Analysis of Satellite AIS Data to Derive Weather Judging Criteria for Voyage Route Selection”, the International Journal on Marine Navigation and Safety of Sea Transportation, Vol.11(2), pp. 85-91, June 2017

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