船学の動画サイトがOPEN!

失敗が許されない作業は、雑念を入れずに集中すべし

『二つの作業を掛け持ちしたことによって起こる事故』の話です。

人間が二つのことを同時進行するのは難しいものです。どうしても片方に気を取られたり、夢中になったりしてもう片方の作業が疎かになってしまいます。重要な作業を担当しているときは、その作業に集中すべきです。自分の持ち場を離れて他の作業に夢中になり、重要な機器の停止や監視を忘れてしまって、あわや大事故という苦い経験をした人がたくさんいるはずです。

一歩間違えば重大な事故につながる作業は、たとえそれが退屈で単純な作業であっても、他の作業との掛け持ちはやめましょう。例えばFO移送作業で予定レベルでポンプを停止しなければいけないときに、時間を持て余しているからといって他の作業をし始めると、ついついそちらに集中してしまい重要な移送ポンプ停止のタイミングを逸してFOタンクのオーバーフローによる漏油という大事故につながることもあります。

デッキ作業の失敗例としてよくあるのが、カーゴホールドの圧力調整作業です。気温が上昇してカーゴホールドの圧力が高くなり過ぎたので、所定の圧力まで下げるためにカーゴホールドのバルブを開けます。目標の圧力まで下がったらバルブを閉めようと圧力の変化を監視していますが、かなり長時間かかるので途中で他の仕事が入ると、カーゴホールドのバルブを開けていることをすっかり忘れてしまい、気が付いたら所定の圧力より大幅に圧力を下げてしまっているという失敗です。

他にもこんな信じられない事故があったと聞きました。ある船で機関室内にあるバラストポンプ付近のフランジから海水の漏洩が発生しました。その原因を聞いてみんなが驚きました。バラストポンプを止めるのを忘れて何時間も締め切り運転状態が続き、ポンプケーシング内の海水温度が高熱となり、その高熱のためにフランジパッキンが損傷してフランジ部から海水が漏洩したのです。本当に信じられないミスです。

なぜバラストポンプを止めることを忘れていたのでしょうか?誰もバラストポンプが回り続けていることに気が付かなかったのでしょうか?詳しい理由は知りませんが、他の仕事に気をとられて、うっかりポンプを停止することを忘れたのでしょうか?それとも交代時に十分な引継ぎをせずに、交代した乗組員がポンプは停止していると勘違いしたのでしょうか?また、最近はタッチパネルでポンプの発停が可能な船もありますが、圧力や電流値も画面の小さな数字でしか監視できません。このような装置を装備している船では、今ポンプがどのような状態であるかも把握しにくいはずです。様々な原因が重なったのでしょうが、とにかくポンプの止め忘れはありえないミスです。このときは残念ながら機関部もバラストポンプの異常な長時間運転に気が付かなかったのです。甲板部や機関部の誰か一人でもバラストポンプが長時間運転されていることに気が付けば、この事故は防げたはずです。

この記事が役に立ったら、お気に入りに登録できます。
お気に入り記事はマイページから確認できます。