ベルヌーイの定理

藤井 迪生藤井 迪生

操船理論を学ぶ上で、まず押さえておかなければならない定理があります。それが、「ベルヌーイの定理」です。
今回は、この「ベルヌーイの定理」を見ていきます。

まずは実験をしてみましょう!

ペットボトルを使った実験
今、500mlの空のペットボトルが2本、少し隙間を開けて並べられています。この2本のペットボトルの隙間に息を吹きかけたとき、ペットボトルはどのように動くでしょうか?
2つのペットボトルは互いに反発し合い外側に動くでしょうか? それとも、互いに引き寄せられるでしょうか?

結果は、2本のペットボトルは、ピッタリとくっつきます。

この実験を実際に試すときには、少しコツがいります。

 

  • 用意するペットボトルは、なるべく四角い形の物の方が望ましいです。炭酸飲料で使われているような丸みを帯びた形のペットボトルではうまく空気が流れないかもしれません。
  • ペットボトルの隙間は7mmから10mmくらいにしてください。あまり広すぎると息を吹きかけるだけではペットボトルを動かず、狭すぎると息がペットボトルに直接あたり、ペットボトルが倒れてしまいます。
  • 空気を吹きかけるときは、ストローを使う方が良いと思います。少し太めのストローを2本、縦に並べて息を吹きかけるとうまくいきます。
  • 息は力強く、一瞬で吹き付けます。あまり長く吹いていると、ペットボトルがひっついた後にも息が当たり、ペットボトルが奥に倒れてしまいます

 

なぜ、ペットボトルはくっついたのか?

ここで登場するのが、ベルヌーイの定理です。
ベルヌーイの定理とは、簡単な式で表すと以下のようになります。

ベルヌーイの定理運動エネルギー + 圧力エネルギー = 一定
※ただし、位置エネルギーは変わらないものとする。

例えば、今、運動エネルギー(流れ)が「1」、圧力エネルギー(圧力)が「4」だとします。
これらの2つのエネルギーを足すと「5」となり、この値は、常に変わりません。

次に、運動エネルギー(流れ)が 1 増加して「2」となったとします。その場合、圧力エネルギー(圧力)は 運動エネルギーが増加した分(この場合は 1 )だけ下がり、その値は「3」になります。しかし、2つのエネルギーを足した値「5」は変わりません。

つまり、ベルヌーイの定理は、流れが発生すると、圧力が低下します。そして、流れが速くなればなるほど、圧力はどんどん低くなります。ということを意味しています。

先ほどのペットボトルの例を見ていきましょう。
実験前の状態
息を吹きかける前、ペットボトルの周りの空気に流れはありません。つまり、圧力だけがかかっている状態です。


次に、2本のペットボトルの隙間に息を吹きかけると、息を吹きかけたところだけ空気の流れが発生します。そうすると、「流れが発生すると圧力が低下する」というベルヌーイの定理のとおり、空気が流れたところの圧力が下がります。一方、息を吹きかけられていない側は空気の流れが発生していないため、元の圧力を維持し続けます。

ペットボトルが移動する
ペットボトルに息を吹きかけていない側の圧力と、2本のペットボトルの隙間の圧力を比較すると、隙間側の方が圧力が低くなっているため、ペットボトルは圧力の高い方から低い方へ押され、結果、2本のペットボトルは互いに引き寄せられた、ということになります。

2つのペットボトルが引き寄せられる

まとめ

今回は、操船理論を学ぶ上で、まず押さえておかなければならない定理、ベルヌーイの定理について説明しました。

流れが発生すると、圧力が低下します。そして、流れが速くなればなるほど、圧力はどんどん低くなります。ということを覚えておきましょう。

次回からは、このベルヌーイの定理が、操船にどのように関わってくるのかを見ていきます。

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2 Comments

安達 直  Adachi  Sunao 安達 直  Adachi  Sunao

船舶の航行に関する力学定理は数多あります。
今回のベルヌーイ定理は次回から応用編に入るようですが、解説の内容程度や進捗程度に配慮すべきと考えます。
つまり、「定理」の最先端の活用方法等を適宜紹介しながら進めると参加者の興味が広がり、なるほど、とか、
こうしたら、などの意見が出されるかもしれません。
通常船舶からフォイル、セイル、ジェットの流体力学などですね。
北欧ではこうした技術開発と実用化が盛んなようです。

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藤井 迪生 藤井 迪生

コメント、ありがとうございます。
このテーマは、3級海技士の養成課程で行っている私の授業の講義ノートを再編集して掲載しています。実際の授業(大人数での座学)では、なるべく難しい式を使わないように工夫しているのですが、反面、もう少し深く知りたいと思っている学生には物足りない内容だろうなといつも思っていたので、良いヒントを頂きました。
他にもご存知のことがありましたら、コメントや記事として「ふねがく」で知識を共有して頂ければ幸いです。
きっと、教員も井の中の蛙から抜け出す良い機会になると思います。

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