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恐ろしい海賊も爆弾も自分たちで対応するしかないのです

私達の命や財産を守るための『船舶保安(Ship Security)』の話です。

最近は、テロ活動が過激化し、世界的な規模で多発しており、陸上と同様に船も万全な保安対策を施す必要性が高まり、実際に強化されています。船の置かれた特殊な環境として自己完結性が求められるとよく言いますが、まさに船の保安業務についても自己完結性が求められているのです。陸上と異なり、私達船員は我が身を自分で守る以外に道はありません。

本来ならば、プロの警備員を雇って船のSecurityを確保するのがベストでしょうが、実際にはコストも莫大となり、人員も確保できません。船舶保安で自己完結を求められる最たるものが、海賊や爆弾への対応です。海賊に襲撃されても誰も直ぐには助けに来てくれません。可能な限り私達自身で海賊に対応せざるを得ないのです。また、船内に爆弾が仕掛けられても、航海中であれば私達に逃げ場はありません。私達自身で爆弾に対応するしかないのです。

しかし、私達だけで海賊に対応すると言っても、明らかに限界があります。私達は武装しているわけでもなく、せいぜい消火ポンプを使っての放水が実行可能な精一杯の抵抗手段です。どの船でも海賊対策を実施するときは、居住区のロックアップ、船尾甲板のライト点灯程度ですが、その効力には疑問が残るものばかりです。私達は武器使用の訓練を受けているでもなく、取り得る海賊対策で最も重要なことは、海賊の早期発見です。

不審なボートが接近してくるのを出来る限り早く発見し、相手側に分かるように大騒ぎすることです。汽笛を鳴らしたり、夜間なら甲板上のライトを点灯し、増速や大角度変針をしたりすることです。海賊も待ち構えて、騒いでいる船を襲う事はためらうはずです。一方、海賊が船上に乗り込んでしまったら、今度は一切抵抗しないことが大原則です。無謀な行動を取って海賊に危害を加えられては大変です。素早くSSAS (Ship Security Alert System) を作動させ、余裕があれば付近のMRCC (Maritime Rescue Co-ordination Centre) へ連絡して下さい。

実際に海賊に襲われたときのことを想定してください。速やかに関係先等外部へ通報しなければいけませんが、皆さんは咄嗟に状況を把握・判断し、行動することができますか?連絡の準備はできていますか?どこへ、どんな手段で、どんな内容を連絡しますか?

自船が海賊に襲われた時は、第一報を以下の関係先等へ迅速に報告しなければいけません。南方やインド洋その他治安の悪い物騒な海域を航行する外航船に乗船している限り、海賊襲撃を想定内にして必要な事前準備をしておくのも航海士の役割です。

① IMB (International Maritime Bureau)
② 最寄りのRCC
③ 海上保安庁
④ 船舶管理会社・担当者

IMBとはIMO下部組織である国際海事局のことで、マレーシアのクアラルンプールにIMBの海賊情報センターがあります。海賊に襲われた場合、このIMB及び最寄りの沿岸国のRCCに通報します。また、日本関係船は日本の海上保安庁へも連絡するよう依頼されています。

さらに船舶管理会社その他あらかじめ取り決められた連絡先には自船から連絡しなければいけません。海賊に襲われたときには冷静な判断や行動を取るのは難しいはずです。従って、事前に連絡先リストや手順書を準備しておき、連絡手順・動作を十分にシミュレーションしておく必要があります。備えあれば憂いなし (Be prepared and have no regrets!) です。

船舶運航に関する略語集

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