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エンジン・ア・ラ・カルト(その2)

発電機

皆さんが乗船している船には何台の発電機を搭載しており、航海中や停泊中に何台の発電機が運転されているかを知っていますか?発電機にはD/G(Diesel Generator)とT/G(Turbine Generator)があり、タービン船では大量に発生する蒸気を有効利用するため、主にT/Gを使用しD/Gを補助とする組み合わせが普通です。

航海士にとっても電源は他人事ではありません。電気容量が確保できていることを確認してからWinch、Windlass、Crane、Cargo & Ballast Pump等の甲板・貨物機器を運転しなくてはいけません。機関士ならば、各機器の必要電力量(kW)が頭に入っており、適切な発電機の運転を行っています。

航海士にはそこまで求められませんが、今どれだけの発電機が運転しているか、今の電力でどの機器を発停できるかぐらいは把握しておく必要があります。航海士として、非常用発電機(Emergency D/G)だけでなく、機関室内の発電機にも気を配らなければいけません。

安全弁

機関士はボイラーの安全弁を吹かさないように非常に神経を使います。本来、安全弁は過大な圧力を逃がすための安全装置なので、圧力が一定値を超えた時点で、正常に作動して過剰な蒸気を噴気すれば良いはずです。

しかし、安全弁が吹いてしまうと心配なことがあります。ボイラーの安全弁は一度噴気するとバルブシートにゴミが噛んだり、バルブシートの当たりが悪くなったりして完全に閉まらず、蒸気が漏れ続けることがあるからです。安全弁は途中にStop Valveが付いていないため、簡単に取り外して整備できません。安全弁を外すためにはボイラーの釜圧を落とさなければいけません。安全弁が漏れると船を止めて整備しなければならない大変な事態にもなり得るのです。

そのため、不用意にボイラー安全弁が吹くことを機関部は嫌がり、安全弁が作動しないよう適切なボイラー圧力管理を行います。LNG船のカーゴタンクの安全弁も同様です。タンク圧が上昇して、一旦、安全弁が作動すると、バルブシートの当たりが悪くなり完全閉に戻らない場合があるので、極力安全弁が作動しないように常に制限値以下でタンク圧管理をしなければいけません。ちなみにボイラーの壁面に直接設置しているバルブを「肌付き弁」と言います。

機関室タンクトップ

今ごろの若い人にとっては信じられないかも知れませんが、昔のタンカーでは機関室やポンプルームのタンクトップ(床)は真っ黒な油だらけでした。安全靴でタンクトップに降りると靴底に油がべったりと付くほど汚れていました。昔の船の機関室やポンプルームのタンクトップは油だらけという印象があり、実際に漏洩したFOやLOで真っ黒に汚れている船がたくさんありました。

しかし、最近の船では一滴の油も落ちていないぐらいにきれいに保たれています。機関部の安全意識が高まり、作業環境が著しく改善された結果です。もし、機関室やポンプルームで油漏れがあっても床が最初から油にまみれていては発見が遅れてしまいます。しかし、油が皆無で寝転がっても汚れないほどきれいな床だと、少量の油が漏れ出ても直ぐに気が付きます。早期発見が早期解決につながり、トラブルが大きくなる前に対応できます。

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