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スパナーが1本では、いざと言う時に役に立ちません

入港中に火災が発生したときに使用する『国際陸上施設連結具 (International Shore Connection) 』の話です。

この連結具の役目は何でしょうか?世界各国で消火ホースの連結部の規格が異なります。日本ではNakajima式やMachino式などが有名ですが、他にもUSA式、French式、Nor式等様々なタイプがあります。そのため、どこの国の港へ行っても接続可能な万能タイプの国際陸上施設連結具を船に積んでいるのです。

火災発生時に即座に利用できるよう国際陸上施設連結具をFire Station等適当な場所に置いています。もちろん、その保管場所を航海士は知っていなければいけません。昔から国際陸上施設連結具に対して検査時に度々指摘される不具合があります。そして指摘されてもその不具合を改善していない船があります。

その不具合とは「スパナー不足」です。陸上連結具を接続するには当然、手だけでは無理です。ボルト・ナットを締め付けるためには2本のスパナーが必要です。ところが、スパナーを1本しか置いていない船があります。想像してください。ボルト・ナットを固定するために1本のスパナーでできますか?ナットが空回りするのでは? 意外とスパナー2本を連結具付近もしくは収納箱内に備えていない船が多いようです。

もちろん私も実際に連結金具を使用するような状況に遭遇したことはありませんが、もし火災が発生すれば1分1秒が勝負です。連結金具を使用すべきときに、スパナーを道具ストアーへ取りに行っている余裕はありません。その遅れが火災を拡大させて消火活動に失敗し、致命的になることさえあるでしょう。ですから、「スパナー2本は連結金具の付属品」というのが常識です。航海士としては、連結金具のそばにスパナー2本がないと違和感を持つぐらいでなければいけません。

ちなみに、連結具の要件はFSS Codeで詳細に決められています。また、SIGOTT Chapter 26.5.3 でも図入りで詳細に説明しています。連結具取り付け用ボルト4個&ナット8個、(M16/スパナーサイズ24mm、長さ50mm)、ガスケットやワッシャー (8個) も必要です。ですから、24mmサイズの防爆型スパナーを連結具の箱に2本入れておけば良いでしょう。上写真はある船のBest Practiceです。誰でもすぐに使用できるようボードに陳列するという工夫をしていました。このようなちょっとしたアイデアが大切です。

最近はSIREにおいて国際陸上施設連結具を2セット所持するようRecommendされています。確かに安全に関わる設備ですから、両舷または適当な場所に2セットあっても良いと思います。また、その設置場所を誰にでも見えるように、例えば陸上の人が乗船してきた場合でも容易にわかるように、甲板上に大きな文字や矢印で明記している船がありますが、Best Practice ! 非常に良いことだと思います。

防爆型と言えば危険物積載船のマニフォールド作業で用いるスパナーやハンマーはもちろん防爆型を使用すべきです。あるタンカー船ではインパクトレンチを使用してBlind Flange(閉止フランジ)の取り外し、取り付けを行っていましたが、論外です。防爆型の道具はどうしても硬度が小さくて直ぐに変形して使えなくなるので、甲板部作業者が使いたくない心境はよくわかります。

また防爆型の道具は非常に高価なため、度々船用品で注文することにもためらいがあるかもしれません。しかし、安全維持のためには無暗に費用を削ってはいけません。必ず防爆型を使用しましょう。防爆工具に使用される材質としてはアルミニウム青銅(銅とアルミの合金)とベリリウム銅(銅とベリリウムBe)の合金がありますが、ベリリウム銅の方が高品質で高価格です。

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