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エンジン・ア・ラ・カルト(その4)

テレグラフ

回転数制御や燃料以外にもDiesel船とTurbine船で大きく異なるのがテレグラフの引き方です。両方に乗船した経験のある人ならよく知っていると思いますが、主機の使い方がDiesel船とTurbine船では決定的に違います。どう違うかというと、「Diesel船」ではStopから、いきなりHalf AheadやFull Aheadを引いても主機関は問題なく追従します。

しかし、「Turbine船」でStopから、いきなりHalf AheadやFull Aheadを引いてはいけません。可能な限り間隔を長くしてDead Slowから順番に上げていきます。理想的には2分間隔ぐらい欲しいところですが、急を要する場合でもやはり20秒程度の間隔は必要です。なぜ適当な間隔が必要かと言えば、急激な負荷変動によってボイラーの燃焼制御が追い付かなくなり、黒煙や白煙を煙突から出し、最悪の場合に発火する恐れがあるからです。

パイロットの中にはTurbine船に乗ったことがないため、その特性を理解できていない水先人がおり、Diesel船と同じ感覚でエンジンを使用する水先人が時々います。そんな場合は要注意です。慣れていない3/Oの中にはパイロットからHalf Aheadとオーダーされると、条件反射のようにテレグラフを引いてしまう3/Oがいます。そのため船長は3/Oに十分説明し、パイロットからHalf Ahead、Full AheadのテレグラフオーダーがいきなりあってもHalf Ahead、Full Aheadを直ぐに引かないよう指示しています。

安全のためにDead Slowから順番に一呼吸置いて、徐々にテレグラフを上げていきましょう。最近は日本の各港に多くのタービン船(LNG船)が入港するようになり、ほとんどのパイロットがタービン船の主機の使い方がディーゼル船と異なることを理解しています。しかし、中には、いきなりHalf やSlowのオーダーをしてくるパイロットがいるので注意しましょう。

排ガスエコノマイザー

排ガスエコノマイザーの役目は何でしょうか?エコノマイザー(economizer)という名の通り、排ガスを使って節約する装置です。ディーゼル船の排気ガスは300℃と非常に高温です。この高熱の排気ガスをそのまま煙突から排出するのはもったいないことです。排気ガスが通る場所に水のチューブを何本も並べた格好の排ガスエコノマイザーという装置を設置して、排気ガスがその水チューブを通過するときにその熱源により蒸気を作るのです。熱源の有効活用で、燃焼効率を高める装置が「排ガスエコノマイザー」です。

優先遮断(Preferential Trip)

優先遮断の役割を知っていますか?発電機の容量が何らかの原因で不足した場合や並列運転の発電機の一台がトリップした場合、重要度が高い機器の電源確保を優先させるため、重要度が比較的低い機器の電源を自動的にオフにして発電機の負荷を減らして重要機器の運転を維持させる機能が「優先遮断」です。

優先遮断が働くと、決められた機器類のブレーカーが自動的に落ちます。機関室の配電盤には優先順位がグループ別に色分けされています。まさに「トカゲの尻尾切り」のような機能です。自分の命を守るために重要でない尻尾をあえて切り捨ててしまうという発想が「優先遮断」です。

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