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もしも、パイロット乗船前に舷梯が動かなかったら(その2)

舷梯が動かない原因として考えられることは、コントロールスタンドの操作レバーの固着又は内部ピンの折損もあります。操作レバーを左右に動かしてエアーの流れる方向を変えて舷梯を動かすのですが、その内部が固着して動かない、あるいは操作レバーは動いても内部ピンが折れているために空回りして内部が動いていないという不具合です。この場合、操作レバー部を開放して内部状況を確認しましょう。

舷梯ワイヤーの劣化による破断は人命にかかわる重大事故になるので、常日頃からワイヤー状態の目視点検とグリースアップを心掛けるようにしましょう。また、昔は舷梯ワイヤーの使用期間を5年間に設定し、5年毎に新替えを実施し、中間の2.5年目のドック等でワイヤーの振り替えを行っていました。しかし、現在は人命にかかわる装置ということで、安全のために毎ドック(2.5年目)でワイヤー新替えを推奨しているはずです。

格納終了後のワイヤー取扱いも重要です。格納直後はワイヤーが緊張した状態で張っているので、ほんの少し緩めて緊張をなくします。これにより、ワイヤーの寿命(ワイヤー強度)が長持ちします。さらに回転部分へのグリース注入も確実に実施しましょう。上部踊り場、ダビット、シーブ、ウィンチ等のグリースポイント全てに定期的にグリース注入することが固着防止対策になります。

稀ですがラバーホースの破損というトラブルもあります。ラバーホースは確実に経年劣化するものです。硬化・劣化したラバーホースは使用中に突然、破裂(Burst)して、非常に危険です。ラバーホースの状態も定期的に目視点検し、劣化が少しでも見られたら予備品と交換しましょう。当然のことながら、ラバーホースの予備品を所持していることも要確認です。

ギアー部のシャフト貫通部から漏油が発生するトラブルもときどきあります。シャフト部のペイントやゴミが内部に侵入してオイルシールを破損させることが原因です。内部にペイントが入りこまないようシャフト部にペイントを塗装しないこと、又はシャフトを常にきれいな状態にしておくことが鉄則です。

オイルシールを交換するためにはギアーボックスのカバーを開ける必要があり、甲板部だけでは手に負えない作業となります。また、漏油と言えば、サイトグラスからの漏油もときには発生します。例え少量の油漏れでも許すことはできません。雨水に流されてギラギラした油膜が船外に流出して海洋汚染につながる可能性があるからです。

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