漂流する超大型タンカーの救出記録 12月13日(金)16:50〜NHKニュースシブ5時で放送

外見はきれいでも、中身はボロボロかも知れません

パイプやフランジの『錆を防止するために使用するテープ』の話です。

Anticorrosive Tape(防食テープ)、デンジルテープ、Denso Tape(デンゾーテープ)、ウェザーテープとメーカーによって呼び方が違いますが、目的や効果は皆同じです。このテープは特殊な油分を含んでおり、甲板機器やパイプに巻きつけて腐食防止の役割を果たす優れものです。

ところがこのテープを巻きつけておけば、錆びずに安心と100%信じ込んだら、痛い目にあいます。やはり物事には、一長一短があるものです。防食テープといえども万能ではありません。大きな欠点もあるのです。

その最大の欠点は、内部が見えないことです。防食テープを巻いた後は、発錆の有無等を確認するには剥がす以外に方法はありません。さらにもう一つの欠点は一度内部に水分が浸入すると水分を内部に保持してしまって、かえって錆の進行が早くなってしまいます。新しい錆のないパイプをパテや粘土で覆い、その上から防食テープを巻きつけて、さらにその上からペイントを塗って固めて内部に水分がまったく入り込まない状態にすれば、非常に長期間発錆なく、良好な状態を保つことができます。

しかし、一旦内部に水分が入り込むと今度は逆に乾燥することなく、内部に水分が閉じ込められ、錆が著しく進行してしまいます。しかも外見からは内部の状態がわからず、テープを剥ぐってみて初めて、びっくりするぐらい錆でボロボロな状態になっているのが明らかになるということが少なからずあります。ある船で係船機の油圧ラインのフランジボルトが緩んでしまい、入港作業中に作動油が大量に漏洩するというトラブルが発生しました。防食テープをフランジ部にも巻いているため、ボルトの緩みを簡単に点検することができませんでした。このように日頃の目視検査で状態の把握ができないことも防食テープの大きな欠点の一つです。

私は何度もそのような経験をしているので、あまり防食テープに好印象を持っていません。むしろ防食テープ否定派です。10年ぐらい経っているパイプの防食テープを剥ぐって見ると、錆び朽ちて危険な状態となっていることさえあります。ですから私はこのテープがあまり好きではありません。もし、このテープを使用するなら定期的に剥ぐって内部の状態を点検し、油が切れて劣化したテープは交換する必要があります。

また、救命艇のラッシングワイヤーがひどく錆腐食している船が散見されます。ラッシングワイヤーがビニールコーティングされているものもありますが、このビニールコーティングが曲者です。ビニールでコーティングすることによって、ワイヤーが潮風にさらされることを防ぎ錆びにくく、また、救命艇に傷がつかないという利点があります。

しかし、そのビニールカバーが劣化して一旦破れてしまうと内部に水分が入り込み乾燥せずに、逆に発錆を促進させてしまいます。防食テープと同じ現象です。ひどいときには救命艇のラッシングワイヤーが錆で切れかかっていることもあります。割と見落としがちな甲板部の安全点検のチェックポイントの一つです。

もし、舷梯のワイヤーや救命艇のラッシングワイヤーが酷く錆びているのを見落として、切断事故が発生すれば、大変です。舷梯や救命艇の安全にかかわる重要なワイヤーは錆びない(正確には錆びにくい)ステンレスワイヤーを使用すべきです。少しは値段が割高になるのでしょうが、使用している場所も限られており、何より安全性が高まるのだから安いものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA