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先輩を道連れにしないよう、階段はあとから上り、先に下りる

『階段』や『梯子』を使用するときに気を付けるべきことの話です。

バラストタンク内検やカーゴホールド掃除のときには垂直梯子(Vertical Ladder)を上ったり下りたりする必要があります。そのときの基本動作として三点支持(Three-Point Mounting)を皆さんはよく知っていると思います。

練習帆船「日本丸」や「海王丸」で実習した人は毎日嫌と言うほどマストに登らされて、三点支持が体に染み付いていることと思います。そして、力まずにしっかり腕を伸ばして梯子を握りながら上り下りすると非常に楽であることも知っているはずです。さらに垂直梯子の上り下りでもう一つ常識として知っておくべきことがあります。

それは自分の前を上り下りする人がいたら、その人の上り下りが完全に終わってから、上り下りを始めるということです。前の人にくっ付くように至近距離を上り下りしてはいけません。もし、前の人が下りているときに自分が滑って落ちたら、その人まで道連れになってしまいます。逆に、もし上っている人が滑り落ちてきたら、自分も道連れになってしまいます。要は他人の巻き添えを食わない、他人を巻き添えにしないために、確実に一人ひとりが順番に垂直梯子を上り下りすることです。

昔、暴言を口にして辞任に追い込まれた某大臣が「長幼の序」という言葉を使いました。孟子の教えで「年下は年上に敬意を払うべきで、むやみに先を越してはいけない。」という意味です。少し意味合いは違いますが、階段の上り下りするときも同じです。上り階段は目上の人や大事なお客さんが先に上がります。

もし、目上の人より先に階段を上がっていて、万一、自分が転げ落ちると目上の人まで巻き添えになってしまいます。同じ理由から下り階段は目下の人が先に下りていきます。もし、目上の人が先に下りているところへ目下が転げ落ちると、目上の人まで巻き添えになって転げ落ちてしまいます。階段を上り下りするときに、こんな気配りが自然とできるようになって下さい。もちろん案内役のためにどうしても目上の人より先に上り階段を上る必要がある場合もありますが・・・・

先輩・後輩と言えば、皆さんはこれからの長い船員生活・陸上勤務生活で、数え切れないぐらい何度も酒の席で先輩達と熱い激論を交わすことがあることでしょう。よく先輩達が飲む前に言うことですが、「今日は無礼講だから言いたいことがあれば、何でも遠慮なく言って良いよ。」とにこやかな笑顔でおっしゃいます。しかし、いくら上司に言われても、上司への不平不満、他人への罵詈雑言は慎んだほうが得策です。人間、そんなに度量の広い人はいません。自分自身に対する攻撃的な発言やきつい文句を耳にすれば、上司は必ずそれを覚えています。そして、将来どこかで自分に跳ね返ってくるかもしれません。周りをよく見て下さい。かしこい人は一歩引いて、さし障りのない会話でその場をやり過ごしているはずです。もちろん、本来は若い人の熱い思いや意見はどんどん酒の力を借りても借りなくても上司にぶつけるべきですが、それを受け入れるかどうかは上司の度量によります。

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