「灯油」と「軽油」
両方とも原油を精製して製造しますが、軽油の方は燃料純度が高く、引火点が高く、燃えやすいので自動車のディーゼルエンジンに利用されています。さらに軽油には硫黄分が多く含まれ、これがエンジンの潤滑油の役目も果たします。逆に灯油には硫黄分が含まれないため、エンジンの使用には適しません。
船でLow Sulfur燃料を使用するときの潤滑問題と同じです。灯油は不純物が少なく、きれいに燃焼するので、暖房用のストーブやファンヒーターで利用されます。裏ワザとして灯油に潤滑剤を混ぜれば、ディーゼル自動車は走ることができますが、長期間の使用はエンジンに良くありません。
「ナフサ」と「ガソリン」
船でも運ぶナフサですが、ナフサは粗製ガソリンとも呼ばれる半製品で、軽質ナフサと重質ナフサがあります。プラスチック等合成樹脂や化学繊維の原料として用いられます。ガソリンは私達の最も身近な燃料ですが、ガソリンは揮発性が高く、使い方を誤れば危険です。そのため規則によりわざとオレンジ(ピンク)色に着色されています。過去、花火大会でガソリンの取扱いミスにより爆発火災事故がありました。ガソリンは灯油や軽油とは違って揮発性が非常に高く危険であることを再認識する事故でした。
「LNG」と「LPG」
多くの皆さんにお馴染のLNGは液化天然ガス、主成分はメタンガス(CH4)です。LPGの主成分はプロパン(C3H8)又はブタン(C4H10)です。LPGは常温で加圧すれば液化できますが、LNGは常温では液化できないため、極低温の-162℃まで冷やして液化します。液化によってLPGはその体積が約1/250に、LNGは約1/600となります。LNGは液化するために15%の損失があるそうです。
「JIS」と「ANSI」と「ASTM」
JISは「Japanese Industrial Standards」の略、日本語で「日本産業規格」(日本工業規格から2019年7月1日改称)です。ANSIは「American National Standard Institute」の略、日本語で「米国国家規格協会」です。それぞれ、ISOに準拠しているでしょうが、JISはメートル法、ANSIはヤード・ポンド法を使用して、自国の事情により基準を定めています。タンカーやLNG船のマニフォールドの仕様としてANSIが多く用いられています。
仕様書に「16” ANSI 150」と記載されていれば、16インチ、ANSI Class150のパイプという意味です。その他にASTM(American Society for Testing and Materials:米国材料試験協会)という工業材料の基準を定めた団体もあります。いずれにせよ各国の各団体は一定の基準を定めることにより、優良な品質を保証しています。そして、種々基準を世界統一したものがISOです。
「1971」と「1972」
LNG CargoのMSDS(Material Safe Data Sheet)に表示されているUN Numberには1971番と1972番の2種類があります。1971番は圧縮されたLNGで、1972番は冷却されたLNGです。従って、私達が船で運んでいるLNGは1972番に該当します。