“当直時間”
昔は航海当直の時間帯は固定でした。出港した後の当直航海士は常に、08-12/20-24時が3/O、00-04/12-16時が2/O、04-08/16-20時がC/Oと決まっており、例え停泊中の荷役作業で何時間働いても出港後の当直時間を変更させることはありませんでした。「今回の港では2/Oは合計6時間しか働いておらず得したなあ。」とか「今回は3/Oは12時間荷役当直してさらに航海当直があって16時間も働いて最悪だったなあ。」という会話がされたものです。しかし、今はMLC2006関連の労務規則により1日の最長労働時間は14時間以内とするよう厳しく要求されるようになり、そのために当直時間も固定制ではなく、変動制にして各自の労働時間を可能な限り平均化するようになりました。
例え当人の当直時間帯でも14時間働いた航海士は休ませて、労働時間の短い航海士を当直に入れるという苦肉の策を講じている船もあります。そのため、11時頃に2/Oが航海当直に立っていたり、13時まで3/Oが航海当直に立っていたりして、非常に違和感があり、船長も混乱気味です。極端な話、今どの航海士が航海当直に入直しているのか船橋に行って顔を見ないと判らないという状況です。どんな当直体制であっても安全で公平な労働条件であれば、問題ないのでしょうが、昔からの4時間固定の当直交代制を知る古い船員には抵抗があるのではないでしょうか。
“散髪セット”
昔の船には散髪屋(理髪店)で使う道具と全く同じものを積んでいました。ひげを剃るときにクリームを塗る刷毛と白くて四角い陶器製の入れ物、ハサミも散髪屋が使うものと同じ本格的なハサミです。ハサミが切れなくなると研ぐ為にわざわざ陸揚げまでしていた時代もありました。また、昔の散髪屋さんが使っていたような髭剃りの剃刀を研ぐための皮ベルトまで装備していた船がありました。最近はバリカンが主流で、日本人も外国人もバリカンで器用に髪を切って男前を作り上げています。
“SAND WAVE”
「SAND WAVE (サンドウェーブ)」を知っていますか?余りお目にかかることはないでしょうが、瀬戸内海の海図等に記載されています。海底にひょろひょろと波型の線が記入されており、何の意味かと海図図式で調べると「SAND WAVE」でした。詳しく調べて見ると、サンドウェーブは日本語では「砂浪」と呼ばれ、底質が砂の場合で、かつ、海水の流れが速い場所においては、海底が波打ったような地形となり、これを「SAND WAVE」と呼びます。瀬戸内海では高低差が最大7mに発達しているところもあるそうです。SAND WAVEは変化・移動するので実際の水深が記載水深と異なることがあり、航行に注意が必要です。