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あら不思議、消えた青色インクが浮かび上がる

海図改補やログブックで使用する『インク』の話です。ログブック記事はインクまたはボールペンで書かなければいけないことは、もちろん皆さんも知っているでしょう。ではベルブックその他の公式記録はどうですか ?鉛筆で書いていませんか ?一昔前にはベルブックを鉛筆で書いている航海士も多くいましたが、今ではボールペンで書くのが常識です。事故発生時の重要な証拠書類となりますので、修正できないようボールペンで記載する必要があります。

ボールペンよりもインクが公式記録に好都合な理由は、「水に濡れて消えても何らかの処理によってインクで書いた文字が浮かび上がるから」という話を聞いたことがあります。本当かどうか定かではありませんが、もしそうならインクを使うことに納得です。ではなぜ青色インクなのでしょうか?ログブックは別として書類を黒色ボールペンで記載すると、オリジナルかコピーかが判別し難いというのが理由の一つです。ですからShip’s Stampも青色インクを使って押すよう心がけましょう。

但し、コピーやスキャナーでは青色文字は薄くなってしまいますので、コピー機の設定を少し濃い目にする等の工夫が必要です。青色のサインやスタンプがある用紙をスキャンしてPDFファイルにしてみたら、サインやスタンプがほとんど映っていないということがよくあります。この場合は、スキャンする前に濃い色に設定を変更の上コピーしてから、スキャンするとくっきり綺麗なPDFが作成できます。逆にパスポートのコピーは普通の設定でコピーすると顔写真が真っ黒です。

コピー機の設定を「文書」から「写真」にするか、色の濃さを薄くしてコピーしなければいけません。ちなみにPDFファイルのPDFとは何の略でしょうか?「Portable Document Format」の略で、アドビシステムズという会社が開発したファイル形式で、多くのソフトウェアでパソコン機種やOSに関係なく表示することができるファイルです。

ではログブック等の公文書に間違った記事を記入したときにはどのように修正しますか?最近は修正液や修正テープ等便利なものがありますが、これを使用して記事を書き直すことは厳禁です。偽造・改ざんの疑い有りと思われてしまいます。ですから通常は間違った箇所を2本線で消して書き直して、そばに自分のサインをします。「ログブックの書き方」を良く読めば、会社によっては2本線でなく、1本線で訂正するよう明記しているログブックもあります。自分の使っているログブックの書き方欄をもう一度よく読んでみましょう。

インクで訂正すると言えば、皆さんは海図改補するとき何色のインクで海図に記入していますか?「赤色」と答えた人は△です。正解は「海図によって使用する色は異なる。」です。日本版海図は赤色インクで改補し、BA版海図はViolet(紫色)インクで改補するのが正しい方法です。「水路図誌使用の手引(書誌第801号)」に海図の訂正は赤色で記入することと記されています。(但し、灯火を示す印はマゼンダ色)

そして「How To Keep Your Admiralty Charts Up-To-Date(NP 294)」には判りやすいようにViolet色で記入すること、そして、それはPSC等の検査対象であると記されています。ですから厳密には日本版海図とBA版海図では改補に使うインクの色が異なります。しかし、現実的には私達が使用する海図の多くがBA版ですから、紫色のインクを使用して改補するのが無難です。また、船橋の夜間の赤っぽいライトでは、赤字が読み難いので、やはり紫色の方が適切かも知れません。

事務局から

ログブックの記入に万年筆を使っておられる方も多いと思います。事務局のおすすめはノック式のキャップレス万年筆です。ボールペンのように使えるので、書きたいと思った時にノックしてすぐ書け、胸のポケットにもしまっておけます。

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