『日付の書き方』の話です。
昔、ある3/Oが作成したCrew Listに誤記入があるのを見つけました。多くの乗組員の誕生日を間違って記入していたのです。Crew Listは官憲に提出する重要な公文書です。決して軽々しく扱ってはいけません。その時の3/Oの間違いは乗組員の誕生日の月と日の順番を統一しておらず、月を先にした人と日を先にした人を混在させていたのです。
つまり、1959年10月4日を10/04/1959と記入したり、04/10/1959と記入したりして「月」と「日」を逆にしている部分があったのです。米国式の年月日表記はOct. 4th, 1959であり、月が先になります。英国式表記では4th Oct. 1959と日が先で、月と日の順番が米国と逆になります。ですから、数字だけで書くと月なのか日なのか区別がつかず、混乱してしまいます。
この混乱を避け、絶対に誤解を招かない方法は、月を英語で書くことです。例えば1959年10月4日生まれの場合、04/Oct/1959またはOct/04/1959と書けば良いのです。そうすれば「月」が先に来ようが、「日」が先に来ようが、決して4月10日生まれと誤解されることはありません。米国式表記と英国式表記のどちらでも対応可能です。要は相手に誤解されないようにすることです。このようにチョットした工夫がヒューマンエラー防止につながります。
もう一つ、年月日に関する間違いです。書類の月日を記入するところにyyyy/mm/ddと例示されているのに、この形式を平気で無視して自分勝手に日付を書いている外国人航海士がいました。その航海士はyyyy/mm/ddの意味を知らなかったのかも知れません。年・月・日の順番に書くのは日本流なのでしょうか?書類の記入例がyyyy/mm/ddであれば、当然1959/10/04と記載しなければいけません。yy/mm/ddならば、59/10/04と記入すべきです。「Oct 04」や「Oct 1959」と自分勝手な日付形式で書いてはいけません。記入例に忠実に従って記入してください。
もう一つ『ローマ字つづり』の話です。
海図に記載されているローマ字表記ですが、昔の海図で「島」は「Sima」と書かれていました。それがいつのまにか「Shima」に替わっているのを知っていますか?従来の海図では訓令式というローマ字表記を使用していたのですが、海図のローマ字表記については、修正ヘボン式に平成11年7月に変更され、平成12年1月刊行の海図から変更されています。例えば、以下のように海図のローマ字表記が変更されています。ですから、現在の海事分野でのローマ字表記はヘボン式であると覚えておいて下さい。ヘボン式は普段私達が使用しているローマ字表記なので違和感はないはずです。
訓令式 | Si | Ti | Tu | Hu |
修正ヘボン式 | Shi | Chi | Tsu | Fu |
海図と言えば、皆さんは「大縮尺の海図」というとき、物標が拡大された港図等の海図を「大縮尺」と言いますか?それとも海洋図のような日本全体が描かれた海図を「大縮尺」と言いますか?よく混乱する『縮尺』の話です。ものを縮めることを「縮尺」と言うので、大縮尺とは大きく縮めている海洋図を大縮尺と思っている人がいますが、それは間違いです。英語で大縮尺をLarge Scaleというように、大きな尺である海図を大縮尺と言います。つまり1/1000が大縮尺で1/10000は小縮尺なのです。「1/1は1/10より数値として大きいから大縮尺である。」と覚えておけば良いでしょう。