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着桟可否を判断する風はどこで計測するの?

船乗りにとっては恩恵を受けるよりも弊害を被ることが多い『風』の話です。

船乗りの仕事にとって、風との付き合いは切っても切れません。ですから、航海士は「風」の定義・意味を正確に知っておくべきです。例えば、着桟基準が「風速12m/s以上」という取り決めの場合、この風速12m/sとは瞬間の速さでしょうか?平均の速さでしょうか?通常、基準とする風速はも「平均風速」で、「瞬間風速」ではありません。

一般に「平均風速」と言えば、高さ約10メートルの場所の観測時刻までの10分間の風速の平均を意味します。この平均風速は「風の息(Gust)」や「瞬間風速」とは異なります。「瞬間風速」は0.25秒毎に3秒間測定した、合計12回の計測値の平均です。一般的に「瞬間風速」は「平均風速」の1.5倍から3倍の大きさです。風速の最大について言えば、平均風速の最大値が「最大風速」であり、瞬間風速の最大値が「最大瞬間風速」です。

ターミナルの着離桟基準となる風速の大きさを議論するとき、問題となるのは風速の値だけでなく、風の観測位置も関係者の合意が必要となります。観測する場所の高さや周囲の遮蔽状況によっては風速が大きく異なるからです。当然のことながら、着離桟可否の判断を下すためには、岸壁付近の実際の風向・風速を検討することがもっとも大切ですから、ターミナルの着桟基準は「ターミナルに設置している風速計の平均値を用いる。」と明確に定義されている場合もあります。

入港時に海上が時化ていて風速が基準値以上でも、ターミナル付近の風速は基準値以下であることはよくあることです。遮蔽物の少ない海上より陸上構造物がたくさん存在するターミナル付近の方が風が弱い傾向にあります。入港前に「今日は強風で着桟できないのではないか?」と船で心配しているときでもターミナル付近では思ったほど風が吹いていないということはよくある話です。

風と同様に霧も港外の海上とターミナル付近で状況が大きく異なることが多々あります。入湾・入港時の船周囲の視程が1マイル以下でも湾内や港内は非常に視程が良いということがあります。また、逆に港外の視程が良くても、湾内や港内の視程が予想以上に悪く、入港・着桟が急遽中止・延期となることもあります。特に局部的に発生した霧では、視程の変化が激しく、入港前の船や陸上は対応に大忙しとなります。風や霧は普段何気なく接している自然現象ですが、入出港時には急激に変化したり、場所や時間によって状況が大きく異なるということを実感させられます。

ところで、「静穏度」という言葉を聞いたことがありますか?あまり聞きなれないかも知れませんが、港湾施設関係者ではよく使用される言葉です。「港湾の航路や泊地が強風による高波で使用不可とならずに正常に船舶が稼動できる割合」です。新たに港湾を建設する場合や防波堤の増築する場合に数値解析や統計的解析によって算出される度数を「静穏度」と言うのです。

「あの港は静穏度が良い天然の良港」、「あの港は防波堤の向きが悪く、静穏度が低いので、しばしば入港延期になる。」といった言い方をします。いわば、どれだけ静かな港かということを表す指標として「静穏度」が使われます。フェリーの運航会社にとってはこの「静穏度」の悪い港では運航ストップが多くて採算が取れなくなります。

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