目が白くなった魚、とうの立った野菜は積み込まない

私達船員の『船内食料』の話です。

全日本海員組合と日本船主協会の間で、外航船員の労働条件や労働報酬に関して取り決めたものが「労働協約書」です。その労働協約書ですが、船内食料の取り決めを読むと、食材に関しておもしろい規定があるので、いくつか紹介しましょう。

「魚の目の色の白くなったもの、“えら”が変色したもの、肉の弾力性のなくなったものなどは積み込まない。」 (今時そんな腐りかけた魚や歯で噛み切れない肉を納入する船食業者はいないと思いますが・・・)

「野菜類は変色したもの、“とう”の立ったもの、発芽したもの、“す”の入ったものなどは積み込まない。」

MEMO
とうが立つとは、盛りを過ぎた野菜のことです。そんな野菜を納める船食業者は信用をなくして、出入り禁止になるでしょう。

「食事の際は主として番茶を供し、その他の場合は煎茶を供する。」 (煎茶のほうが価格が高いので、コストセーブのため船員は番茶で我慢しなさいということです。日本人全乗船の頃ならば、毎日乗組員全員が煎茶を飲めば、コストも相当なものになるでしょうが、今の混乗船ならば、日本人数が少ないため、コストもそれほどかからないはずです。)

「料理は目先を変えて食欲の増進をはかり、また、季節の感覚を盛るように配慮するものとする。」 (日替わり定食のように1週間毎に同じメニューでは、駄目ということでしょうか。混乗船となり外国人が日本食を料理する現在では、季節の感覚を盛るのは相当に無理があると思いますが・・・)

「乗組員が夜間作業(当直、夜荷役等)に従事した場合は夜食を供する。」 (明確に労働協約書に規定されているので、夜食にカップラーメンを用意してもらって、食べることを遠慮することはありません。当然の権利です。但し、夜食の食べ過ぎで健康を害することがないようにしましょう。)

「船食業者の積込手数料は、平日の場合、食料金額100万円までは6.5%、超える金額につき5.5%、日曜祝祭日は1%上積みする。」 (数千円の違いですが、入港日が日曜よりも平日になったほうがちょっぴりお得ということになります。)日本のほとんどの船食業者は協約通りの手数料を取ります。そのため、基本的には食料の積込み搬入は業者が行い、乗組員が手伝う必要はありません。

しかし、外国の殆どの船食業者は積込み手数料を取らず、そのかわり積込み作業を乗組員が手伝うことになります。ですから海外の船食業者のサービスが悪いのではなく、それが世界標準なのです。「牛肉はいわゆる中肉程度、鯨肉を使用する場合は、特にその品質を吟味する。」 (中肉程度といわれても、非常に抽象的で何をもって中肉というかわかりません。鯨肉についての取り決めが今でも含まれているのは驚きです。今となっては鯨肉は手に入らない超高級品です。)

ちなみに港で購入する牛肉や豚肉は免税品で、価格は非常に安く1kg当たり、1,000円程度です。100gで100円と非常に安価です。私達が街のお肉屋さんで買う牛肉で100g 100円の牛肉はまずないでしょう。しかし、免税肉は安いだけあって私達日本人が好む霜降り牛肉は手に入りません。霜降り肉が食べたければ、課税品の高価なお肉を購入するしかありません。

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