漂流する超大型タンカーの救出記録 12月13日(金)16:50〜NHKニュースシブ5時で放送

航海当直 ア・ラ・カルト(エンジンテレグラフ・コースレコーダー・シャドーピン)

阪口泰弘阪口泰弘

言うまでもなく、『航海当直』は航海士にとって基本中の基本の職務です。それ相応に出来て当たり前、もしも、信用に足るだけの航海当直の技量を発揮できなければ、船長以下乗組員全員から航海士失格の烙印を押されてしまいます。その航海士の「Basic Skill」ともいえる航海当直について焦点を当て、いくつかの初歩的な話を紹介します。

エンジンテレグラフ

「あなたは切迫した危険が迫ったとき、咄嗟にテレグラフが引けますか?」多くの衝突事故で航海士や船長がテレグラフを引いて減速するという避航動作を取らなかったり、取るのが遅れたという事実があります。私達航海士はMO運転中や航海中にテレグラフを触ることにかなりの抵抗があるはずです。

スタンバイ中ならいざ知らず、ほとんどの人が航海中にテレグラフを引いたことがないはずです。しかし、当然のことながら、衝突を回避するための動作のように切迫した場面では、テレグラフを引いて減速する行動を取らなければいけません。航海中のテレグラフ操作に慣れていない航海士に対して、操船シミュレーターでテレグラフを引く訓練をする必要があるという声が高まっています。

パイロット乗船中にR/Up領域まで増速した場合、再びS/B Fullまで回転数を下げるときにパイロットへ「Maneuvering Full にするときは、15分前Noticeでお願いします。」と依頼します。もちろんR/Up領域で回転している主機はすぐにはS/B Eng.にできません。「主機回転数をゆっくりと下げるため、S/B Eng.になるまで15分かかるので、主機を使用するタイミングの15分前に連絡してください。」というのが「15分前Notice」です。ちなみにタービン船では主機回転数を増速するには1回転/2分、主機回転数を減速するには1回転/1分の時間が必要です。

コースレコーダー

コースレコーダーに正確なコースや舵角が記録されていることを航海当直毎に確認するのは航海士として当然の務めです。しかし、最近のコースレコーダーは性能も良く、故障も少なく、保守整備作業もほとんど必要ありません。そのため記録・表示の状態確認がおろそかになっていませんか?

ある船での「コースレコーダーの記録紙」に関する話です。その船はターミナル要求により、着桟時の操船性能を高めるため35度以上の舵角を取ることが可能で、45度まで取ることができる仕様の船でした。記録紙はメーカーによって異なるかも知れませんが、通常のコースレコーダーの記録紙は舵角40度仕様です。記録チャートの右側に舵角、左側に象限、中央にコース示度という配置です。

45度用の記録紙はレンジ(目盛り)が異なり、通常の記録紙が使えず、専用の記録紙を使用する必要があります。45度舵の船に40度仕様の記録紙を使用すると不正確なコースや舵角を記録することになります。たまたま、気が付いたのですが、過去数年間もの長期に渡って、タイプの合わない40度仕様の記録紙を使用していたのです。

もし、衝突事故があれば、証拠としてコースレコーダーの記録を調べるときに問題となったでしょう。最近の船はVDRにコースを記録していますが、コースレコーダーの記録も重要な証拠です。今回のうっかりミスは、船橋の機器が正常に作動しているかを毎当直中にチェックすることの重要性を再認識する出来事でした。まさに「Return to Basics !」です。

シャドーピン

外国人航海士の多くは、「レピーターコンパスのシャドーピンは、誤って目を突く可能性があるので危険である」と嫌います。確かに夜間当直時に真っ暗な中をレピーターコンパスでクロスベアリングを取るとき、慣れていない人にとっては突き出た針のようなシャドーピンは危険かも知れません。レピーターコンパスでベアリングを取るとき以外はシャドーピンを外して横に寝かせておきましょう。ちなみに外国仕様の多くの船では写真のような装置をレピーターコンパスに載せて使用しています。のぞき窓をのぞくと、1本の縦線とグラス越しのコンパス示度の両方が見えて、意外と使いやすいものです。

 

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