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見つめ過ぎて目がチカチカして、見えた気になるのでは?

洋上で目にすることができる美しい『自然現象』の話です。

洋上で「虹」や「竜巻」をときどき見かけることがあります。稀にしか現れませんが、二重にかかった虹や月明かりの中に現れる虹を見た時は幻想的で何か得した気分になります。竜巻も至近距離で見ると、海面が白く泡立ち、海水が吸い揚げられて水柱が立っているのが良くわかります。その他にも昔から船で見られる不思議な自然現象がいくつかあります。

その一つとして、「セントエルモの火(St. Elmo’s Fire)」。船のマストの先端でぼんやり青白い光が発生する現象で、正体は雷の作用で大気中に生じる強い電磁場によって起こる現象だそうですが、残念ながら今まで見たことがありません。聖エルモとは「船乗りの守護神」のことで、昔の船乗りはこの現象を神様の仕業と思ったのでしょう。聞くところによると、ペルシャ湾入口のホルムズ海峡を夜間航行するときにも不思議な現象を目にすることがあるそうです。穏やかな夜に辺りの海面に灯りがプカプカと浮かび上がる不思議な現象だそうです。タンカーやLNG船ではこの現象を見たことがある人もいるのではないでしょうか?もしかして海底からメタンガスが吹き出て海面まで達しているのかも知れません。

有名なグリーンフラッシュ(Green Flash)。夕方の太陽光がオレンジ色とは限りません。日が暮れて太陽が沈む時、太陽の上端が水平線に隠れる最後の一瞬にあざやかな緑色に輝く現象です。グリーンフラッシュは日本語で「緑閃光(りょくせんこう)」と言い、日没直前や日出直後に水平線上で見ることができます。

太陽の光がプリズムのように色分けされ、波長の短い緑色の光が澄み切った空気の中で瞬きます。私も何度かグリーンフラッシュを目撃しました。ある人に言わせると、「水平線に沈みかけている太陽をじっと10分も15分も見つめていると、誰でも目がちかちかとおかしくなって、緑色に光ったように見えた気がするんだよ。」と言っていましたが、これではグリーンフラッシュの話も興ざめです。

水平線から昇ってきたばかりの太陽は綺麗な赤色をしており、肉眼でも直接見ることができます。皆さんも知っているでしょうが、水平線上に昇った直後の太陽を双眼鏡で見ると、はっきりと数個の黒点を見ることができます。黒点は11年周期で増減を繰り返しますが、黒色に見えるのはその部分の温度が低いからです。黒点が多いときは太陽の活動も活発で、磁気嵐やオーロラが起こりやすいと言われています。また、木の年輪にも太陽の黒点の周期と同じ特徴が現れます。

自然現象と言えば昔、貴重な体験をしました。台湾沖を航行中、部屋で休んでいると突然ドドドドドッと地響きのような振動を体に感じました。船体が数秒間にわたり激しい振動で震えました。当時は結構、海が時化ていたので、まず、大きな波が船首に当たり、その衝撃で振動したのかなあと思いました。しかし、その振動が2回、3回と繰り返すので何事かとびっくりです。浅瀬に乗り揚げたのか、漁船と衝突したのかと、焦って急いで船橋に駆け上がって周囲を確認しましたが、異常ありません。その後すぐにニュースで地震速報が流れ、この付近で大きな地震があったことを知りました。船でも地震を感じるという話は聞いていましたが、私自身が地震を乗船中に感じたのは初めての体験です。その後も東北地方沿岸の太平洋を航行中に同じように地震の振動を船体に感じる経験をしたことがあります。

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