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本船が所持する錨鎖数を現場に表示しておけば、一目瞭然

『錨鎖』の話を一つ。

Windlass付近に本船が所持する錨鎖数を表示していないとVetting Inspectionで指摘されることがあります。船長や船首配置に携わるC/Oや1/Oは当然、乗船して本船の錨鎖が何シャックルであるかを調べて頭に入れておくことが必要です。しかし、乗船して直ぐに船首スタンバイになり、時間的余裕がなく、本船の所持錨鎖数がわからなくても、現場や船橋に表示していれば、一目瞭然、調べるまでもなく本船の所持する錨鎖数がわかります。

現在、何シャックルを繰り出しているかを示す錨鎖数指示器を装備している船もありますが、多くの船で本船の所持錨鎖数を表示していないのが現実です。両舷の錨鎖数が同じであれば覚えやすいのですが、両舷で錨鎖数が異なり右舷14シャックル、左舷13シャックルという船もありました。

右舷と左舷のどちらが長いか短いか混乱してしまいます。これを一々頭に入れておくのは大変で、現場に書いてあれば覚える必要はないということです。最近のISMの発想と同じで、各機器や構造物のスペックや注意事項を誰でも容易に理解・判断できるように表示して事故防止に役立てることが大切です。

もし、乗船してWindlass周辺に錨鎖数が表示されていなければ、表示するようにした方が良いでしょう。私も錨鎖数が表示されていない船でドックに入り、渠底に錨鎖を降ろすときにドック作業員に「本船のシャックル数はいくつですか?」と尋ねられて、即答できずに恥をかいたことがありました。その船の所持する錨鎖数の正解は右舷12節、左舷11節でしたが、現場表示していれば、わざわざ調べなくても誰が見ても一目瞭然です。

ところで、何節目までの錨鎖を繰り出しているかを知るためのシャックルマークですが、このシャックルマークに各会社独自の取り決めがあることを皆さんは知っていますか?恥ずかしながら私は知らなかったのですが、ある会社では赤色、白色そして黄色のペイントを用いて塗り分けしています。各節を繋ぐケンターシャックル(リンク)1個を赤色塗装して、シャックルの数だけケンターの両側に白色ペイントで塗装していきます。そして5節目になるとケンターシャックルの両側1個を黄色で塗装します。つまり、黄色は5節分を意味します。ですから5節目は黄+赤+黄となり、6節目は白+黄+赤+黄+白となります。そして、10節目は黄+黄+赤+黄+黄となります。会社によって使用する色も異なり、ある会社では白や黄色をシャックルマークに使用していますが、他のある会社では黒色を使用しています。

また、シャックルマーク端のチェーンのスタッドリンクにキャンバスを巻いてステンレスバンドで止めているのを知っていますか?例えば4節といえば両側4個全てのリンクに白色ペイントを塗り、4個目のシャックルのスタッドリンクだけにキャンバスを巻いてステンレスバンドで止めています。頻繁にアンカーを使用する船では3、4節目のシャックルマークが海底でこすれて、すぐに白色ペイントが剥がれてしまい、何個白色塗装されているか数えることが非常に困難となります。そんなときには、このステンレスバンドがケンターシャックル(リンク)から何個目に付いているかを数えれば、容易に現在のシャックル数がわかります。


参考
アンカーチェーン | コンドーテック総合カタログコンドーテック株式会社

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