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救命設備・消火設備の制限時間いろいろ(その3)

記載内容は執筆当時のものです。最新の情報をご確認ください。

救命信号類にも以下のように使用時間に関する規定があります。

自己点火灯 (Self-igniting Light): 少なくとも2時間点灯 (LSA Code 2.1.2)

自己発煙信号 (Self-activating Smoke Signal): 浮いた状態で少なくとも15分間、水中で少なくとも10秒発煙(LSA Code 2.1.3)

救命胴衣灯 (Lifejacket Light): 少なくとも8時間0.75カンデラ以上の光度で点灯 (LSA Code 2.2.3.1)

落下傘付信号(Rocket Parachute Flare): 40秒以上燃焼 (LSA Code 3.1.2)

信号紅炎(Hand Flare): 1分以上燃焼 (LSA Code 3.2.2)

発煙浮信号(Buoyant Smoke Signal): 3分間以上極めて見やすい色で発煙 (LSA Code 3.3.2)

ここに紹介した以外にも船内には制限時間や使用時間が規定された設備や機器が沢山あります。皆さんも「数量」だけでなく「時間」も意識して、日頃の安全点検を行うよう心がけて下さい。

紹介した救命設備を用いて行う操練ですが、通常の操練は数日前に操練シナリオを準備して、乗組員全員が万全の準備をしてから実施するのが慣例です。ところが、ある船長は乗組員へ事前に周知せずにいきなり操練を実施したそうです。午後1時実施予定の操練を午前11時から予告せずに行ったのです。昼から実施予定の操練を午前中に突然、総員配置が発令されると乗組員も面食らってしまうでしょう。

しかし、この不意打ち操練によって、乗組員がどれぐらい迅速かつ適切に対応できるかで、その技量を測ることができます。実際の事故は場所や時間を選ばず、突然発生するものです。突然の総員配置に的確な対応ができてこそ、私達船員が安心して船上で仕事や生活ができるのです。どうでしょうか、あなたも不意打ち操練に素早く対応できますか?

操練の話をもう一つ。3/Oが船橋において各部署との連絡係を担当しますが、多くの3/Oに見られるのが、一方通行の連絡で終わってしまっていることです。作業班から「Fire Pumpスタートお願いします。」と依頼があると、「Fire Pumpスタートします。」とAnswer Backするだけで、「Fire Pumpスタートを依頼しました。」「Fire Pumpがスタートしました。」という連絡を作業班にしない3/Oが多いのです。「・・・します」と今から意図する動作を連絡し、さらに「・・・しました」と取った動作を連絡するというのが基本です。

「Fire Pumpをスタートします。」「Fire Pumpをスタートしました。」とステップ毎に甲板上で作業している乗組員に伝えることが重要です。また、Fire PumpからEmergency Fire Pumpに切り替えるときに、「Fire PumpからEmergency Fire Pumpに切り替えて下さい。」と機関室に連絡している3/Oがいますが、これも駄目です。Fire Pump停止を依頼し、停止確認後にEmergency Fire Pump始動を依頼すべきです。二つの作業を同時にオーダーするべきではありません。甲板上で作業している乗組員がどのタイミングでポンプが切り替わり、水圧がどのように変化するかを明確に判断できるようにステップ毎に連絡を取り合うべきです。

火災操練を開始する前にFire Planを船橋に広げて準備していますか?火災が発生した場合、船橋で指揮を執るメンバー(Command Team)が消火設備の種類・配置場所や火災区画を特定するためにFire Planが必要不可欠となります。ですから火災操練がある場合は船長に言われなくてもFire Plan、Check List、Initial Reportフォーム等を船橋に準備しましょう。

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