ホースは怖い! 襲われて顔面に大怪我することも

船上で毎月実施している『防火操練』の話を一つ。

消火活動は、まず、放水準備として甲板上に数本の消火ホースを用意し、消火栓を開けます。そして、Fire Pumpをスタートします。Fire Pumpが何らかの理由で使用できないときは、Emergency Fire Pumpをスタートします。このとき、消火ホースのノズルをハンドレールにロープで縛り付けて、消火班の誰も手を添えていない光景をしばしば見ますが、これは非常に危険です。一気に海水が高圧になって固定しているロープが外れると、ノズルが暴れ跳ね踊って付近にいる人に激突して大怪我する恐れがあります。

「Fire & Bilge Pump」や「Fire, Bilge & GS Pump」は船外排出弁(Over Board Valve)によって吐出圧力(Delivery Pressure)を適当な圧力に調整することが可能ですが、「Emergency Fire Pump」や「Fire Pump」はポンプサイドに逃がしのライン&バルブがないために、圧力調整ができません。また、「Fire & GS Pump」が高速(High Speed Mode)と低速(Low Speed Mode)の2段階切り替えになっている船では、火災の場合は高速モードで使用し、General Serviceで使用するときは低速モードで使用するようになっています。高速で使用する場合は、Fire Pumpと同等の能力になり、十分な消火水量が得られます。そのため非常に高圧の海水が消火ホースから出てくることになります。

船によっては海水の上がりが非常に遅い船といきなり高圧海水が出てくる船と両極端なので、圧力調整ができない「Emergency Fire Pump」、「Fire Pump」を使用するときは注意が必要です。実際、過去に消火ホースの圧力が非常に高くなり、跳ねた消火ホースのノズルが顔面に当たり、大怪我するという事故が発生しています。ノズルをハンドレールに縛り付けていても油断してはいけません。必ず数人が両手でしっかり構えるようにしましょう。

船によっては消火ラインを「Pressurized Pump」で常に一定圧力まで昇圧して維持しておき、火災発生の際に消火栓を開けると、消火ライン内の圧力が低下して、それを検知して自動的に消火ポンプが起動するようになっています。迅速に消火活動ができるように消火ポンプを常時S/Bさせているのです。このシステムは初期消火活動を迅速に行えるという利点があります。しかし、反面、非常に危険な状況に陥る可能性もあります。例えば、消火ホースを消火栓に接続し、消火栓を開けるとします。すると消火ラインの圧力が低下し、消火ポンプが自動起動して一気に消火ラインから高圧海水が出てきます。このとき、もし消火ホースを手で支えることができないほどの高圧力であった場合、非常に危険です。実際に私も防火操練でヒヤっとするニアミスを体験しました。2人の甲板部員が消火ホースを持っている状態で、2/Oが消火栓を開けたところ、自動で消火ポンプが起動し、非常に高圧な海水が噴出したため、2人が消火ホースを支えきれずに右へ左へ振り回される状態となりました。慌てて消火ポンプを停止して事なきを得たことがあります。

現場作業者が消火栓を開けると、即座に高圧海水が放出されるということを知らないと、大怪我をする危険性があります。従って、乗組員全員が理解して作業することが重要になります。そして、防火操練のときには、安全対策として消火ポンプの自動起動は使用せず、手動によって消火ポンプを起動させた方が良いでしょう。

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