チェーンカップリング
通常、モーターとポンプが対になった機器の開放整備が完了後に組み立てる場合、センター出し作業(芯だし)によってモーター軸とポンプ軸を誤差0.03mm程度以内の精度に収めて接続させる必要があります。そのため、機関士はセンター出し作業に非常に苦労し、熟練した繊細な技が必要です。しかし、この「チェーンカップリング(Chain Coupling)」を使用すれば、軸同士のずれをある程度許容することができるので、組み立てが比較的簡単です。
「チェーンカップリング」の構造は2列のローラーチェーンでモーター側とポンプ側をスプロケット(スプロケット:軸の回転をローラーチェーンに伝達したり、ローラーチェーンの回転を軸に伝達するための歯車)でつなぎ、それをカバーで覆って内部にグリースや油を注入しています。チェーンカップリングは通常のカップリングよりも取扱が容易であるため、高速回転する操舵機等の機器に使用されています。
紙パッキン
機関部関連機器によっては薄めのガスケット(パッキン)を用いている箇所があります。そこには厚手のノンアスガスケットやラバーガスケットではなく、厚さの薄い紙ガスケット(パッキン)や液状ガスケットを使用しています。もし純正の紙パッキンの手持ち予備がない場合、しばしば古い紙海図を紙パッキンとして使用します。海図は上質のケント紙を使用しているので、思いのほか良質の紙パッキンになります。機関士が船橋に上がってきて古い紙海図を譲って欲しいという依頼があれば、紙パッキンに使用するのかも知れません。
圧着端子
配線をターミナルに接続するときに半田(ハンダ)を使用する方法の他に圧着端子なる便利なものを利用しています。英語で「Crimp Contact」又は「Solderless Terminal」です。
従来は半田付で端子に接続していたものを圧着端子を利用することにより作業効率が格段に向上しました。専用のペンチのような道具で端子を電線にかしめて、その端子をターミナルにビスで接続するだけです。
インシュロックタイ
機関部だけでなく、甲板部でもよく使用する結束バンドのことをインシュロック(INSULOK)、インシュロックタイ、結束バンドと呼びます。インシュロックは一般名詞ではなく、ある会社のブランド名、商品名です。電線ケーブルを支柱に固定したり、多数の電線を束ねたりするときにこの結束バンドを使用します。また、船外弁をシールするときにも用います。プラスチック製なのでニッパーやハサミで簡単に切れることが利点です。