船学の動画サイトがOPEN!

船体が悲鳴をあげるようなことをしていませんか?

簡単そうで意外と奥の深いバラスト作業の話です。以前、LNG船の内部・外部監査で指摘された事項に「Ballast Sequenceを準備せずにBallast Operationを実施していた。」というものがありました。全タンクをほぼ同じ液レベルで積荷役・揚荷役を行うLNG船では、ドラフト、GM、強度等船体にかかわる重要なファクターに対する意識が希薄になっているのは事実です。その改善対策としてLNG船でも必ず荷役中のBallast Tankの状態を綿密に計画し、毎時間各ステップ時のDraft、Trim、強度計算結果(B.M./S.F./GM)を事前に表示しておくことが周知徹底されました。

この問題の本質は、検査で指摘されたということではありません。貨物の積み卸しやBallastの漲排水により何万トンもの物体を移動させるのですから、綿密な計画を立案し、船体が悲鳴をあげるようなオペレーションを行っていないかどうか、作業が予定通り遂行されているかを確認することが重要です。その重要性・必要性を荷役作業担当の航海士が認識しているかどうかが問題なのです。

LNG船は常にワンパターンでLNGを積み揚げし、Ballastを漲排水するので、その意識が非常に希薄なようですが、タンカーに乗って荷役計画を立案すればそれをよく理解できます。タンカーの場合、毎航海のように積荷、揚荷のTank数、積/揚タンクの順番や数量が異なってくるので、その度にLoading Computerとにらめっこして、各ステップでのCargo量、Ballast量を計画し、船体姿勢(ドラフト/トリム)や強度を確認する必要があります。船体が悲鳴をあげていないかどうかを気にしてやるのも航海士の仕事です。

バルブはダブルシャットが基本です。どんなバルブも漏れる可能性があると思っておいたほうが安全です。以前、CCRでバラスト作業中にバルブがわずかにすいていたのか、空タンクに海水が2m程度まで入り、船が少し傾斜することがありました。航海士がCCRでバラスト作業を行っていても空タンクに海水が流入していることに気が付きません。計画通りのバラストコンディションならば、傾斜するはずもないのにおかしいと思わないのでしょうか?あるいは、コンソールの空きタンクに注意が及ばないのでしょうか?計画通りにいかないときには何らかの理由があるはずです。

水中ポンプの話を一つ。ある甲板部員からウェルデンポンプ(ダイアフラムポンプ)の引きが悪いので、新しいポンプか容量の大きいポンプが欲しいと申し出がありました。よくよく聞くと、その使用方法に問題がありました。ビルジを排出するために高い場所にウェルデンポンプを置いて、サクションホースをタンク底まで伸ばして使っているのです。

これではいくらポンプの性能が良くでも排出能力が落ちてしまいます。ポンプサクションは真空以上は引けないということは皆さんも知っているでしょう。例えば清水を排出する場合、ポンプから約10m低い場所の清水は排出できません。もちろんポンプをタンク底においてサクション位置を低くし、吐出圧を高くすれば、20mでも30mでも水は上がります。

ところで、デッキ上のカーゴ関連バルブのハンドルをロープでくくっている船があります。ロープでくくっている意味はバルブが閉となっていることを意味します。ロープでくくってあるのを見ればバルブの開閉位置をそばまで行って確かめなくても一目瞭然です。さらに振動等でバルブが閉状態から開となることを防止できるという利点もあります。

この記事が役に立ったら、お気に入りに登録できます。
お気に入り記事はマイページから確認できます。