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ドスを取り交わす、といっても物騒なものではありません

世界的なテロや凶悪化する強盗・強奪の脅威の高まる中で、船陸双方において適切な保安体制・対策が取られています。そんな船陸の保安体制の話です。

陸上だけでなく船においてもテロ対策として万全な措置が講じられています。その保安対策の指針となるSSP(Ship Security Plan:船舶保安計画)には数々の略語が出てきますが、常識的に知っておかなければいけないものとして、SSO(Ship Security Officer)、PFSO(Port Facility Security Officer)、CSO(Company Security Officer)があります。

その他にDOSというものがありますが、DOSとは何でしょうか?“ドス”と言うと物騒なものをイメージしますが、「次の港で本船はターミナルと“ドス”を取り交わす必要はない。」と言う使い方をします。DOSとは「Declaration of Security」の略号で、日本語で「保安宣言」と言い、船陸双方で保安措置について合意したことを宣言する書類です。

船陸が同じSecurity Levelの場合には、このDOSを取り交わす必要はありません。船陸でSecurity Levelが異なっていたり、陸側が十分な保安措置を実施していないと判断したときには本船と陸側が保安措置の実施・責任について確認・合意してDOSを締結しなければいけません。

治安の悪い港へ入港せざるを得ないときは、会社やターミナルと十分に協議して入港することとなります。「Safety Port」という言葉が傭船契約の中でしばしば登場しますが、傭船者は本船を安全な港に配船する義務があります。ではSafety Port(安全な港)とはどのような港でしょうか。安全な港とは本船が常時浮揚して入港、停泊、荷役、出港を物理的、政治的に安全に行うことができる港のことです。

季節的にうねりが入り危険な港は安全な港とは言えませんし、戦争状態である地域の港や政治的不安定で紛争や混乱が絶えない港も安全な港とは言えません。テロ行為の可能性がある港、テロ行為が直前にあった港ではSecurity Levelが3に設定されているはずです。ですからSecurity Levelが3である港が果たして「Safety Port」と言えるのかは微妙なところで、入港の可否の判断は難しいところです。

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